ガンジーの名言でよく引かれるのが、「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」という言葉です。
ところが、ガンジーの名言として広まっている言葉の中には、本人の著作や演説の中で確かめられないものが少なくありません。
ガンジーの名言は、ネットの定番の言い回しをそのまま本人の言葉とせず、著作・演説・書簡など確かめられる出典から背景まで読むことで、考え方を正確につかめます。
名言は出典を確かめられるガンジーの言葉だけを英語の原文つきでテーマ別に並べ、誤って広まった名言には本当の出どころを示しています。
この記事のポイント
- 「非暴力は私の信仰の第一信条である」は1922年の裁判で語った言葉
- 「弱い者は決して許すことができない」は『Young India』に書いた言葉
- 「あなたが見たい変化にあなた自身がなりなさい」はガンジーの原文を短くした言葉
- 「目には目を、は世界を盲目にする」は伝記作家の言葉が広まったもの
ガンジーの名言一覧
この記事で紹介する主な名言を、英語の原文と出典つきで一覧にします。
| 名言 | 英語の原文 | 出典 |
|---|---|---|
| 非暴力は私の信仰の第一信条であり、最後の教義でもある | Nonviolence is the first article of my faith. It is also the last article of my creed. | 1922年の裁判での陳述 |
| 弱い者は決して許すことができない。許しは強い者の性質である | The weak can never forgive. Forgiveness is the attribute of the strong. | 『Young India』(1931年) |
| 真理は神である | Truth is God. | 『Young India』(1931年)など |
| 識字は教育の目的ではなく、始まりでさえない | Literacy is not the end of education nor even the beginning. | 教育についての寄稿 |
| 私の人生が、私のメッセージである | My life is my message. | 1947年の言葉として知られる |
ガンジーとは
マハトマ・ガンジーは、1869年10月2日にインド西部のポルバンダルで生まれ、インド独立運動を非暴力で導いた指導者です。
弁護士として渡った南アフリカで約21年間、インド系移民への差別に抵抗する運動を率い、そこで非暴力の抵抗運動「サティヤーグラハ」を生み出しました。
インドに戻ってからは、1930年の「塩の行進」など非暴力・不服従の運動を指導し、1948年1月30日にデリーで銃撃されて亡くなりました。
「マハトマ」は「偉大な魂」という意味の尊称で、本人はこう呼ばれることに戸惑いも感じていたといわれています。
ガンジーの考え方は、自伝を読むと、南アフリカでの経験や迷いも含めて知ることができます。
\ ガンジーの言葉を自伝で読む /
非暴力と真理についての名言
ガンジーの言葉の中心には、「アヒンサー(非暴力)」と「サティヤ(真理)」という2つの考え方があります。
非暴力は私の信仰の第一信条である
1922年、暴動の責任を問われて裁判にかけられたガンジーが、法廷で語った「Nonviolence is the first article of my faith. It is also the last article of my creed.」という言葉です。
運動の中で起きた暴力の責任を引き受け、罰を受け入れることで、非暴力の考えを貫いたガンジーの姿勢が表れています。
真理は神である
ガンジーは「Truth is God.(真理は神である)」という言葉をくり返し語っています。
はじめは「神は真理である」と考えていたガンジーが、のちに「真理こそが神である」と言い換えたもので、どんな信仰の人にも共通する真理を大切にした考え方が表れています。
強さと許しについての名言
ガンジーは、非暴力を弱さではなく、本当の強さから生まれるものだと考えていました。
弱い者は決して許すことができない。許しは強い者の性質である
1931年の『Young India』に書かれた「The weak can never forgive. Forgiveness is the attribute of the strong.」という言葉です(出典:mkgandhi.org)。
相手を許すには心の強さが必要だという考え方で、仕返しをしない非暴力の生き方と深く結びついています。
教育と学びについての名言
ガンジーは、読み書きの力だけでなく、心と体と魂をまるごと育てる教育を大切にしていました。
識字は教育の目的ではなく、始まりでさえない
「Literacy is not the end of education nor even the beginning.」という言葉で、字が読めることがそのまま教育ではないと語っています。
同じように、教育とは「子どもと人の、体・心・魂の最良の部分を引き出すこと」だとも書いていて、手を動かして学ぶ教育を重んじました。
ガンジーの生き方を表す名言
ガンジーの言葉は、書き残した文章だけでなく、自分の行動そのものと結びついています。
私の人生が、私のメッセージである
1947年、インドとパキスタンの分離独立で宗教対立による暴動が起きたころ、メッセージを求められたガンジーが返した言葉として知られています。
言葉で語るより、自分の生き方で示すという考え方で、暴動を止めるために断食まで行ったガンジーらしい一言です。
偉人のほかの名言もあわせて読みたい方は、偉人の名言集を解説した記事も読んでみてください。
ガンジーの名言として誤って広まった言葉
ガンジーの名言として紹介される言葉の中には、本人の言葉ではないものや、本人の文章を大きく言い換えたものもあります。
あなたがこの世で見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい
英語の「Be the change you wish to see in the world.」として有名ですが、この形はガンジーの著作には見当たりません。
ガンジーは1913年の新聞『Indian Opinion』に「もし私たちが自分自身を変えられれば、世界の傾向も変わるだろう」という趣旨の文章を書いていて、これが短く言い換えられて広まったと考えられています。
目には目を、は世界を盲目にする
「An eye for an eye will make the whole world blind.」も、ガンジーの言葉として有名です。
ただ、名言の出典を調べるQuote Investigatorなどによると、伝記作家ルイス・フィッシャーが1950年の伝記の中でガンジーの考えを説明するのに使った表現が、本人の言葉として広まったとされています。
最初は無視され、次に笑われ、次に攻撃され、そして勝つ
ガンジーの言葉として紹介されますが、似た言葉は1918年にアメリカの労働運動家ニコラス・クラインが演説で語った記録があり、ガンジーの言葉ではないとされています。
明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ
日本でもよく知られる言葉ですが、ガンジーの著作や演説の中では、今のところ確かな出典が見つかっていません。
「憎しみは憎しみによっては終わらない。愛によって終わる」も、古い仏教の経典『ダンマパダ(法句経)』によく似た言葉があり、ガンジー本人の言葉かどうかははっきりしていません。
ガンジーの名言に関するよくある質問
「明日死ぬかのように生きよ」はガンジーの言葉ですか?
ガンジーの言葉として広まっていますが、本人の著作や演説の中では確かな出典が見つかっていません。
ガンジーの有名な英語の名言は?
「The weak can never forgive. Forgiveness is the attribute of the strong.(弱い者は決して許すことができない。許しは強い者の性質である)」が、出典を確かめられる代表的な言葉です。
「Be the change」はガンジーの言葉ですか?
この形はガンジーの著作には見当たらず、1913年の文章を短く言い換えたものが広まったと考えられています。
ガンジーの非暴力とは何ですか?
暴力を使わずに不正に抵抗する考え方で、ガンジーはこれを「サティヤーグラハ(真理の力)」と呼びました。
ただ耐えるのではなく、罰を受けることもいとわずに不正に立ち向かう、強い意志に支えられた抵抗です。
ガンジーの名言まとめ
ガンジーの名言は、ネットの定番の言い回しをそのまま本人の言葉とせず、著作・演説・書簡など確かめられる出典から背景まで読むことで、考え方を正確につかめます。
非暴力と真理を大切にした言葉は、どれもガンジー自身の行動と結びついています。
「Be the change」や「目には目を」のように、本人の言葉ではない名言も広まっています。
持ち帰りたい一言を選ぶなら、「弱い者は決して許すことができない。許しは強い者の性質である」です。
気になった言葉は、自伝や著作で前後の文章ごと味わってみてください。