トランプ大統領の名言といえば、テレビ番組の決め台詞「You're fired!」や、選挙のスローガン「Make America Great Again」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
ただ、トランプの名言や語録として広まっている言葉には、もとは別の政治家が使っていたスローガンや、本人が言った記録のない作られた言葉も混ざっています。
トランプの名言は、英語の原文と、いつ・どの場面で語られた言葉かを確かめると、決め台詞やスローガン、口癖に込められたビジネスと政治の考え方が正しく伝わります。
「Think big.」は1987年の著書『The Art of the Deal』の言葉ですが、「共和党員はいちばん愚かな有権者だ」という発言は作られた言葉です。
この記事のポイント
- 「You're fired!」はテレビ番組『The Apprentice』の決め台詞
- 「Make America Great Again」は1980年にレーガン陣営が先に使った言葉
- 「Think big.」は1987年の著書『The Art of the Deal』の言葉
- 「共和党員はいちばん愚かな有権者だ」という発言は作られた言葉
トランプの名言一覧
この記事で紹介する主な名言を、英語の原文と出典つきで一覧にします。
| 名言(英語) | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| You're fired! | お前はクビだ | テレビ番組『The Apprentice』(2004年〜) |
| Make America Great Again | アメリカを再び偉大に | 選挙スローガン(2016年の大統領選など) |
| America First | アメリカ第一 | 大統領選や就任演説 |
| Think big. | 大きく考えろ | 著書『The Art of the Deal』(1987年) |
| I know words. I have the best words. | 私は言葉を知っている、最高の言葉をね | 選挙集会(2015年) |
| You are fake news. | 君たちはフェイクニュースだ | 記者会見(2017年) |
ドナルド・トランプとは
ドナルド・トランプは、1946年にアメリカのニューヨークで生まれた実業家・政治家で、父の不動産事業を受け継ぎ、ホテルやオフィスビル、ゴルフ場などを手がけて自分の名前をブランドにしました。
2004年から2015年まで、テレビ番組『The Apprentice』の司会を務めて全米に知られる存在になり、2017年に第45代アメリカ大統領に就任しました。
2021年に一度退任したあと、2024年の大統領選で再び勝利し、2025年1月に第47代大統領に就任しています。
トランプのビジネスの考え方を本人の言葉で読むなら、『The Art of the Deal』の日本語訳『トランプ自伝』がおすすめです。
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決め台詞と口癖になった名言
トランプの言葉の中には、テレビ番組や記者会見から生まれ、本人の代名詞になった決め台詞や口癖があります。
You're fired!(お前はクビだ)
2004年に始まったテレビ番組『The Apprentice』で、ビジネスの課題に挑んだ参加者の中から脱落者を告げるときの決め台詞です。
番組が長く続いたことで、決断力のある経営者というトランプのイメージを全米に広め、トランプといえばこの言葉と言われるほどの代名詞になりました。
Tremendous/Believe me(口癖)
「途方もない」「すばらしい」という意味の「Tremendous」や、「本当だ、信じてくれ」という意味の「Believe me」は、演説や会見でくり返し使われるトランプの口癖です。
「Huge(とてつもなく大きい)」なども含め、強い形容詞をくり返すことで、話の印象を短く強く残す話し方の特徴になっています。
You are fake news.(君たちはフェイクニュースだ)
2017年1月11日、大統領就任前の記者会見で、質問しようとしたテレビ局の記者に向けて言った言葉です。
もともとはネット上の偽ニュースを指していた「フェイクニュース」という言葉を、自分に批判的な報道に向ける言葉として使ったことで広く知られるようになりました。
選挙のスローガンになった名言
トランプの代名詞になったスローガンには、以前に別の政治家や団体が使っていた言葉もあります。
Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)
トランプの選挙運動を象徴するスローガンで、頭文字をとって「MAGA」とも呼ばれます。
ただ、この言葉は1980年の大統領選で、共和党のロナルド・レーガン陣営が「Let's Make America Great Again」として使ったのが始まりとされ、トランプが最初に考えた言葉ではありません。
トランプは2012年にこの言葉を商標として出願し、2015年に大統領選への出馬を表明してから、選挙運動の中心に据えました。
America First(アメリカ第一)
2016年の大統領選以降、外交や貿易の方針を表す言葉としてくり返し使われているスローガンです。
1940年代に、アメリカが第二次世界大戦に参戦することに反対した団体「アメリカ第一委員会」が掲げた言葉としても知られ、この言葉も以前から使われていたものです。
アメリカの大統領が残した言葉は、リンカーンの名言を解説した記事でも紹介しています。
ビジネスと交渉についての名言
1987年の著書『The Art of the Deal』(日本語訳『トランプ自伝』)には、トランプの交渉に対する考え方が多く書かれています。
Think big.(大きく考えろ)
『The Art of the Deal』の中で、取引の心得の最初に挙げられている言葉です。
多くの人は成功や決断、勝つことを恐れているから小さく考える、という説明が続き、どうせ考えるなら大きく考える、というトランプのビジネスの姿勢を表しています。
Deals are my art form.(取引は私の芸術だ)
同じ本の冒頭にある言葉で、ほかの人がキャンバスに絵を描いたり詩を書いたりするように、自分は取引をするのが好きだ、と続きます。
お金そのものより、取引という勝負を楽しむという考え方が表れています。
交渉で最悪なのは、必死に見えること
『The Art of the Deal』で、取引をまとめたくて必死な態度を見せると、相手に弱みを見抜かれてしまう、と語った言葉です。
交渉では余裕を見せることが大切だという、ビジネスの場でもよく引用される考え方です。
トランプの話し方の特徴
トランプの言葉が強く印象に残る理由は、話し方そのものにもあります。
日本の政治家の話し方では、小泉進次郎さんの「進次郎構文」と呼ばれる発言を出典と文脈から確かめた記事もあります。
I know words. I have the best words.
2015年12月30日、サウスカロライナ州の選挙集会で語った言葉で、私は言葉を知っている、最高の言葉を持っている、という意味です。
語彙の豊かさを誇る内容を、とても短く簡単な単語だけで言っているため、トランプの話し方を表す言葉としてよく引用されます。
短い言葉とくり返し
2016年にカーネギーメロン大学の研究者が行った分析では、トランプの演説の語彙や文法は、ほかの候補者や歴代の大統領と比べて平易な水準だったとされています。
短い単語、同じ言葉のくり返し、最上級の表現、相手にあだ名をつける話し方は、誰にでも伝わりやすく、記憶に残りやすい効果があると分析されています。
トランプの言葉ではない名言
トランプの名言として広まっている言葉の中には、本人が言った記録のないものもあります。
「共和党員はこの国でいちばん愚かな有権者だ」
トランプが1998年に雑誌『People』のインタビューで、出馬するなら共和党から出る、共和党員はいちばん愚かな有権者だから、と語ったとする画像がSNSで広まりました。
しかし、アメリカのファクトチェック機関が調べたところ、雑誌にそのようなインタビューの記録はなく、作られた言葉であることがわかっています(参考:Snopes)。
トランプの名言に関するよくある質問
トランプ大統領の決め台詞は?
テレビ番組『The Apprentice』で脱落者に告げた「You're fired!(お前はクビだ)」がよく知られています。
トランプの口癖は?
「Tremendous(途方もない)」「Believe me(信じてくれ)」「Huge(とてつもなく大きい)」などが口癖として知られています。
「Make America Great Again」はトランプが考えた言葉ですか?
1980年の大統領選でレーガン陣営が先に使った言葉で、トランプが2012年に商標として出願しました。
「共和党員はいちばん愚か」という発言は本当ですか?
雑誌にそのようなインタビューの記録はなく、作られた言葉であることがわかっています。
トランプの名言まとめ
トランプの名言は、英語の原文と、いつ・どの場面で語られた言葉かを確かめると、決め台詞やスローガン、口癖に込められたビジネスと政治の考え方が正しく伝わります。
「You're fired!」や「Think big.」には、テレビと著書で築いた実業家としての姿が、「Make America Great Again」には選挙での戦い方が表れています。
一方で、以前から使われていたスローガンや、本人が言った記録のない作られた言葉も、トランプの語録として広まっています。
持ち帰りたい一言を選ぶなら、「Think big.」です。
気になった言葉は、著書や演説の記録にあたって、前後の文脈ごと確かめてみてください。