アインシュタインの名言としてよく引かれるのが、「想像力は知識よりも大切だ」や「人生とは自転車に乗るようなものだ」です。
ところが、アインシュタインの名言として広まっている言葉には、本人の記録が見つからないものや、まったく別の人の言葉だったものが数多くあります。
アインシュタインの名言はネット上の定番表現を無条件に本人の言葉とせず、著書・講演・書簡・インタビューなど確認できる出典を優先し、背景まで読むことで考え方を正確につかめます。
名言は手紙やインタビューで出典を確かめられるものを英語やドイツ語の原文つきで並べ、誤って広まった名言には本当の出どころを示しています。
この記事のポイント
- 「人生とは自転車に乗るようなものだ」は、息子エドゥアルトへの手紙の言葉
- 「想像力は知識よりも大切だ」は、1929年の雑誌インタビューの言葉
- 「狂気とは同じことを繰り返し…」は、アインシュタインの言葉ではない
- 「9×10=91」の黒板の逸話は、事実の記録がない作り話
アインシュタインの名言一覧
この記事で紹介する主な名言を、原文と出典つきで一覧にします。
| 名言 | 原文 | 出典 |
|---|---|---|
| 人生とは自転車に乗るようなものだ | Life is like riding a bicycle. | 息子への手紙(1930年) |
| 想像力は知識よりも大切だ | Imagination is more important than knowledge. | 雑誌インタビュー(1929年) |
| 成功した人間ではなく、価値のある人間になりなさい | Try not to become a man of success, but rather try to become a man of value. | 『LIFE』誌(1955年) |
| 大切なのは、問い続けることをやめないことだ | The important thing is not to stop questioning. | 『LIFE』誌(1955年) |
| 私には特別な才能はない。ただ、情熱的に好奇心が強いだけだ | I have no special talent. I am only passionately curious. | カール・ゼーリヒへの手紙 |
| 神はサイコロを振らない | …daß der nicht würfelt. | マックス・ボルンへの手紙(1926年) |
アインシュタインとは
アルベルト・アインシュタインは、1879年にドイツのウルムで生まれ、1955年にアメリカで亡くなった物理学者です。
スイスの特許局で働いていた1905年に、特殊相対性理論や光電効果など、のちの物理学を大きく変える論文を次々に発表しました。
1921年のノーベル物理学賞は、相対性理論ではなく「光電効果の法則の発見」などの業績に対して贈られています(出典:ノーベル賞公式サイト)。
1933年にナチスが政権を取るとアメリカへ移り、晩年まで核兵器の廃絶を訴える平和運動にも力を注ぎました。
アインシュタインの言葉は、本人が晩年に書いた自伝的な文章を読むと、考え方の筋道まで知ることができます。
\ 本人が語った物理学への道 /
人生と生き方についての名言
アインシュタインの言葉には、成功よりも人としての生き方を大切にする考え方が表れています。
人生とは自転車に乗るようなものだ
1930年2月5日、心の病に苦しんでいた息子エドゥアルトに宛てた手紙の言葉で、「倒れないためには走り続けなければならない」と続きます。
原文はドイツ語で、英語では「Life is like riding a bicycle. To keep your balance you must keep moving.」と訳されています。
止まらずに少しずつでも進み続けることの大切さを、父親として息子に伝えようとした言葉です。
成功した人間ではなく、価値のある人間になりなさい
1955年5月2日号の雑誌『LIFE』に載った、ウィリアム・ミラーによるインタビューの言葉です。
周りから評価される「成功」よりも、人の役に立つ「価値」を目指しなさいという、晩年のアインシュタインの人生観が表れています。
成功はA=x+y+zである
1929年、ジャーナリストのサミュエル・ウルフに語った言葉で、xは仕事、yは遊び、zは口を閉じていることだと続きます。
働くことと遊ぶことに加えて、「余計なことを言わない」ことを成功の条件に入れたところに、アインシュタインらしいユーモアがあります。
想像力と好奇心についての名言
アインシュタインは、自分の業績を才能ではなく好奇心と想像力によるものだと考えていました。
想像力は知識よりも大切だ
1929年10月26日号の雑誌『The Saturday Evening Post』で、記者ジョージ・シルベスター・ヴィレックのインタビューに答えた言葉です。
知識には限りがあるが、想像力は世界を包みこむという考えから語られたもので、新しい発見は今ある知識の外側から生まれることを示しています。
大切なのは、問い続けることをやめないことだ
1955年の『LIFE』誌のインタビューで語られた言葉で、「好奇心には、それ自体に存在する理由がある」と続きます。
亡くなる直前の言葉で、生涯にわたって「なぜ」を問い続けたアインシュタインの姿勢がよく表れています。
私には特別な才能はない。ただ、情熱的に好奇心が強いだけだ
伝記作家のカール・ゼーリヒに宛てた手紙の言葉として知られています。
天才と呼ばれた本人が、自分の強みは才能ではなく好奇心だと語っているところに、この言葉の面白さがあります。
英語の名言をもっと読みたい方は、英語の名言を解説した記事も読んでみてください。
科学と平和についての名言
物理学者としての信念や、戦争を経験した人としての願いも、言葉に残されています。
神はサイコロを振らない
1926年12月4日、物理学者マックス・ボルンに宛てた手紙の言葉が元になっています。
原文では「いずれにせよ、私は彼(神)がサイコロを振らないと確信している」と書かれており、偶然や確率で自然を説明する量子力学の考え方に疑問を投げかけたものです。
平和は力では保てない。理解によってのみ達成できる
アインシュタインの平和についての言葉を集めた『Einstein on Peace』などに収められている言葉です。
原子爆弾の開発につながる大統領への手紙に署名したことを、後に大きな過ちだったと悔やんだアインシュタインは、晩年まで平和を訴え続けました。
アインシュタインの名言として誤って広まった言葉
アインシュタインほど、本人の言葉ではない名言が数多く結びつけられている人物はいないといわれています。
狂気とは、同じことを繰り返し行い、違う結果を期待すること
アインシュタインの名言として特に有名ですが、本人の記録はなく、1981年に発行された依存症の回復を支える団体のパンフレットが最も古い記録とされています。
6歳の子どもに説明できなければ、理解したとは言えない
本人の記録は見つかっておらず、物理学者のラザフォードやファインマンの言葉とされる似た表現が混ざって広まったと考えられています。
「教育とは、学校で学んだことをすべて忘れた後に残るものである」も、アインシュタインが「ある機知に富んだ人」の言葉として紹介したもので、本人の言葉ではありません。
「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションである」も、本人の著作や手紙には見当たらない言葉です。
黒板に「9×10=91」と書いた逸話
授業で計算を間違えたアインシュタインが「1つの間違いだけを笑うのか」と語ったという話は、SNSで広く出回っていますが、事実の記録がない作り話です。
「魚に木登りの能力で評価したら…」「複利は人類最大の発明」なども、アインシュタインの言葉ではないことがわかっています。
アインシュタインの名言に関するよくある質問
「想像力は知識よりも大切だ」は本当にアインシュタインの言葉ですか?
1929年の雑誌『The Saturday Evening Post』のインタビューで語った、本人の言葉です。
「狂気とは同じことを繰り返し…」はアインシュタインの言葉ですか?
本人の記録はなく、1981年の依存症の回復を支える団体のパンフレットが最も古い記録とされています。
「人生とは自転車に乗るようなものだ」の出典は?
1930年2月5日に、息子エドゥアルトに宛てた手紙です。
アインシュタインはなぜノーベル賞を受賞したのですか?
相対性理論ではなく、光電効果の法則の発見などの業績に対して1921年のノーベル物理学賞が贈られました。
アインシュタインの名言まとめ
アインシュタインの名言はネット上の定番表現を無条件に本人の言葉とせず、著書・講演・書簡・インタビューなど確認できる出典を優先し、背景まで読むことで考え方を正確につかめます。
本人の言葉からは、成功より価値を求め、問い続けることをやめなかった、好奇心にあふれた人柄が伝わってきます。
「狂気とは…」や「9×10=91」のように、本人と関係のない言葉や逸話も広まっています。
持ち帰りたい一言を選ぶなら、「大切なのは、問い続けることをやめないことだ」です。
気になった言葉は、手紙やインタビューの出典まで確かめて味わってみてください。