ムーミンの名言の代表に、スナフキンの「あんまりだれかを崇拝すると、本物の自由はえられないんだぜ」や、リトルミイのはっきりした物言いがあります。
ただ、ネットで「ムーミンの名言」として広まっている言葉には、原作にない自己啓発の言葉や、別の作品の文章が混ざっているものもあります。
ムーミンの名言は作品名・登場人物・出典を確認し、短い引用と背景説明を組み合わせることで、原作が伝える生き方や人間関係の機微を正確に味わえます。
名言はトーベ・ヤンソンの原作小説に出てくる言葉に発言したキャラクターと作品名をそえ、英語で知られている言葉や、誤って広まった名言も扱っています。
この記事のポイント
- ムーミンの名言は、原作小説9冊とコミックスが主な出典
- スナフキンの言葉には、ものや人に縛られない自由が表れている
- リトルミイの言葉は、感情にまっすぐな強さが魅力
- 「なぜ逃げ出すのか…」はミイの言葉ではない
ムーミンの名言一覧
この記事で紹介する主な名言を、発言したキャラクターと作品名つきで一覧にします。
| 名言 | キャラクター | 作品 |
|---|---|---|
| あんまりだれかを崇拝すると、本物の自由はえられないんだぜ | スナフキン | 『ムーミン谷の仲間たち』 |
| 大切なのは、自分のしたいことがなにかを、わかってるってことだよ | スナフキン | 『ムーミン谷の夏まつり』 |
| たたかうってことをおぼえないかぎり、あんたは自分の顔を持てるわけないわ | リトルミイ | 『ムーミン谷の仲間たち』 |
| かなしむなんてできないわね。あたいは、よろこぶか、おこるだけ | リトルミイ | 『ムーミン谷の冬』 |
| 明日もまた、長い一日になるでしょうよ | ムーミンママ | 『ムーミンパパ海へいく』 |
| ぼくは自分の運命を、この手で切り開いてみせるぞ | ムーミンパパ | 『ムーミンパパの思い出』 |
ムーミンとは
ムーミンは、フィンランドの画家・作家トーベ・ヤンソンが生み出した物語で、1945年の『小さなトロールと大きな洪水』から始まる小説は全9冊あります。
日本では講談社から翻訳が出ていて、2019年から2020年にかけて、読みやすく見直した『ムーミン全集[新版]』が刊行されました。
トーベと弟のラルス・ヤンソンが描いた新聞連載のコミックスもあり、日本では1969年からアニメも何度か作られています。
この記事の言葉は、ムーミン公式サイトの名言ページに載っている新版の訳をもとにしています。
講談社の「ムーミン谷の名言シリーズ」は、スナフキンやミイの言葉を場面ごと味わえる名言集です。
\ スナフキンの言葉を場面ごと /
スナフキンの名言
旅と自由を愛するスナフキンの言葉には、ものや人に縛られない生き方が表れています。
あんまりだれかを崇拝すると、本物の自由はえられないんだぜ
短編集『ムーミン谷の仲間たち』の「春のしらべ」で、旅の途中に出会った小さなはい虫に、スナフキンが言う言葉で、「そういうものなのさ」と続きます。
スナフキンにあこがれてついて来ようとするはい虫に、誰かを崇拝しすぎると自分の自由を失うと伝える場面で、スナフキンはこのはい虫に「ティーティ・ウー」という名前をつけてあげます。
ネットでは「崇拝しすぎると、ほんとうの自由は得られない」という形でも広まっていますが、新版の訳では「あんまりだれかを崇拝すると」です。
なんでも自分のものにして、持って帰ろうとすると、むずかしくなっちゃうんだよ
『ムーミン谷の彗星』で、きれいな石を持ち帰れずに落ち込むスニフに、スナフキンが語る言葉です。
「ぼくは見るだけにしてるんだ」に続けて、「そして立ち去るときには、頭の中へしまっておく」と語ります。
ものを持たずに旅を続けるスナフキンらしい考え方で、持ちものを増やすより、心に残すことを大切にする生き方が伝わってきます。
大切なのは、自分のしたいことがなにかを、わかってるってことだよ
『ムーミン谷の夏まつり』に出てくるスナフキンの言葉で、正確には「そうかい」に続けて語られます。
ネットでは「大切なのは自分でしたいことを、自分が知ってるってことだよ」という形で広まっていますが、新版の訳はこの形です。
人に言われたことではなく、自分が何をしたいのかを知っていることが大切だという、シンプルで力強い言葉です。
あんまりおおげさに考えすぎないようにしろよ
『ムーミン谷の十一月』で、スナフキンが言う言葉で、「なんでも、大きくしすぎちゃ、だめだぜ」と続きます。
心配ごとをふくらませすぎてしまう人に、肩の力を抜くよう声をかけてくれる言葉です。
リトルミイの名言
小さな体で思ったことをはっきり口にするリトルミイの言葉は、感情にまっすぐな強さが魅力です。
たたかうってことをおぼえないかぎり、あんたは自分の顔を持てるわけないわ
『ムーミン谷の仲間たち』の「目に見えない子」で、つらい扱いを受けて姿が見えなくなってしまった女の子ニンニに、ミイが言う言葉です。
新版では「あのさ」で始まり、「ほんとよ」で終わります。
怒ることさえできなくなったニンニに、自分の気持ちを出していいと伝える言葉で、ムーミン公式サイトのブログでは、旧版と新版で訳が少し違うことも紹介されています。
かなしむなんてできないわね。あたいは、よろこぶか、おこるだけ
『ムーミン谷の冬』で、寒さで死んでしまったりすを悲しむムーミントロールに、ミイが返した言葉です。
悲しんでも何の役にも立たないと、弔いの黒いリボンをつけることも断るミイの姿に、どこまでも現実的な性格が表れています。
だれだって、ときにはおこるほうがいいのよ
『ムーミンパパ海へいく』でミイが言う言葉で、「どんな小さなクニットだって、おこる権利はあるのよ」と続きます。
怒りを我慢してため込むより、ときには外に出したほうがいいという、ミイらしい率直な考え方です。
原作の言葉を本でじっくり読みたい方は、名言本のおすすめを紹介した記事も読んでみてください。
ムーミン一家の名言
ムーミントロールとパパ、ママの言葉には、家族を包むやさしさと、冒険への憧れが込められています。
のんびりした言葉の中に深さがある日本の漫画では、コジコジのセリフの意味と出典を解説した記事もあります。
明日もまた、長い一日になるでしょうよ(ムーミンママ)
『ムーミンパパ海へいく』で、ムーミンママが語る言葉で、「しかも、はじめからおわりまで自分のものよ」と続きます。
そして最後に「とてもすてきなことじゃない!」と締めくくり、明日という一日がまるごと自分のものだと思える、前向きな気持ちにさせてくれます。
人生って、ほんとにおもしろいものよね(ムーミンママ)
『ムーミン谷の冬』で、ムーミンママが語る言葉です。
銀のおぼんの使い方は一つだけだとみんなが思っていたのに、もっといい使い方があったと喜ぶ場面で、決まりごとにとらわれないママの柔らかさが伝わってきます。
ぼくは自分の運命を、この手で切り開いてみせるぞ(ムーミンパパ)
『ムーミンパパの思い出』で、若いころのムーミンパパが語る言葉です。
冒険にあこがれて自分の道を切り開こうとした若き日のパパの、まっすぐな意気込みが表れています。
生きるって、すばらしいことだなあ(ムーミントロール)
『ムーミンパパ海へいく』で、ムーミントロールがつぶやく言葉です。
何もかもが理由もなくひっくり返ったりするのが面白いと続き、思いどおりにならない毎日も楽しんでしまう、ムーミントロールの感性が光ります。
英語で読むムーミンの名言
ムーミンの物語はもともとスウェーデン語で書かれ、英語にも翻訳されて世界中で読まれています。
英語で読める児童文学の言葉では、プーさんの名言を原作の英語つきで解説した記事もあります。
You can't ever be really free if you admire somebody too much.
スナフキンの「あんまりだれかを崇拝すると、本物の自由はえられないんだぜ」は、英語版の『Tales from Moominvalley』では、このように訳されています。
「誰かを崇拝しすぎると、本当に自由にはなれない」という意味で、英語圏でもスナフキンを代表する言葉として親しまれています。
It's not easy when you want to own things
スナフキンの「なんでも自分のものにして、持って帰ろうとすると、むずかしくなっちゃうんだよ」は、英語版の『Comet in Moominland』では、このような書き出しで訳されています。
リトルミイ(英語名はLittle My)の言葉を英語で探すときも、作品名をそろえて確かめると、原作の場面にたどり着きやすくなります。
リトルミイの名言を英語版で読む
リトルミイの言葉は、英語版の原作でも短くはっきりした言い回しで訳されています。
ここで取り上げるのは、ムーミンの公式英語サイトの名言ページで、英語版の書名つきで紹介されている言葉です。
You have to be angry sometimes. Every little creep has a right to be angry.
英語版の『Moominpappa at Sea』(『ムーミンパパ海へいく』)で、ミイが言う言葉です。
この記事で紹介した「だれだって、ときにはおこるほうがいいのよ」と、続く「どんな小さなクニットだって、おこる権利はあるのよ」にあたる部分です。
日本語版の「クニット」は、英語版では「creep」と訳されています。
Hope for the best and prepare for the worst.
英語版の『Tales from Moominvalley』(『ムーミン谷の仲間たち』)のミイの言葉として紹介されています。
いちばんいいことを願いながら、いちばん悪いことにも備えておく、という意味です。
楽観と用心を両方持っておく、ミイの現実的な考え方として受け取れます。
I don't care a fig for other people's secrets.
英語版の『Moominpappa at Sea』で、ミイが他人の秘密について話す言葉で、秘密を言いふらしたりもしないと続きます。
「care a fig」は「少しも気にしない」という言い回しで、人の噂に興味を持たないミイのさっぱりした性格が表れています。
誤って広まったムーミンの名言
人気キャラクターだけに、原作にない言葉がムーミンの名言として広まっていることがあります。
「なぜ逃げ出すのかよく考えてみなさいよ」はミイの言葉ではない
ミイの言葉として紹介されることがありますが、ムーミン公式サイトのブログによると、これはトーベ・ヤンソンの短編集『メッセージ』に収められた「コニコヴァへの手紙」の一節です。
第二次世界大戦中、アメリカへ旅立つユダヤ人の友人に宛てた手紙という形の作品で、ムーミンの物語の言葉ではありません。
恋愛や仕事についての「ミイの名言」
恋愛や仕事の悩みに答えるような言葉がミイの名言として広まっていますが、同じブログでは、ムーミンとは関係のない言葉が多いと指摘されています。
ムーミンの物語はもともと子ども向けの童話なので、大人の恋愛や仕事について語る言葉は、原作で確かめてから使うのがおすすめです。
ムーミンの名言に関するよくある質問
スナフキンの有名な名言は?
『ムーミン谷の仲間たち』の「あんまりだれかを崇拝すると、本物の自由はえられないんだぜ」がよく知られています。
リトルミイの名言で有名なものは?
「目に見えない子」の「たたかうってことをおぼえないかぎり、あんたは自分の顔を持てるわけないわ」が有名です。
ムーミンの名言は英語で何と言いますか?
スナフキンの崇拝の言葉は「You can't ever be really free if you admire somebody too much.」と訳されています。
「なぜ逃げ出すのかよく考えてみなさいよ」はミイの言葉ですか?
ミイの言葉ではなく、トーベ・ヤンソンの短編「コニコヴァへの手紙」の一節です。
ムーミンの名言まとめ
ムーミンの名言は作品名・登場人物・出典を確認し、短い引用と背景説明を組み合わせることで、原作が伝える生き方や人間関係の機微を正確に味わえます。
スナフキンの自由、ミイの率直さ、ママのやさしさと、それぞれの言葉にキャラクターらしさがあふれています。
「なぜ逃げ出すのか…」のように、ムーミンの物語ではない言葉が広まっている例もあります。
持ち帰りたい一言を選ぶなら、スナフキンの「大切なのは、自分のしたいことがなにかを、わかってるってことだよ」です。
気になった言葉は、原作の場面に戻って前後の物語ごと味わってみてください。