プーさんの名言でよく知られているのが、「何もしない」ことの大切さを語った言葉や、「さよならを言うのが辛い何かがあるなんて、ぼくはなんて幸せなんだろう」です。
ただ、くまのプーさんの名言として広まっている言葉には、原作にもディズニー作品にも出てこないものや、まったく別の映画や本の言葉が、プーさんの言葉として広まったものが少なくありません。
プーさんの名言は、言葉だけでなく、A・A・ミルンの原作か、ディズニー作品か、実写映画かまで確かめると、のんびりした言葉の奥にある本当の意味と、クレイジーにも見える独特の面白さがよくわかります。
原作の『クマのプーさん』と『プー横丁にたった家』、ディズニー作品の言葉には英語の原文と出典をそえ、「クレイジー」と言われる迷言の真相や、誤って広まった名言も取り上げています。
この記事のポイント
- 「何もしない」の言葉は、原作『プー横丁にたった家』の最終章に出てくる
- 「さよならを言うのが辛い何かがあるなんて」は、1975年の別の映画の言葉
- 「100歳から1日引いた日まで生きたい」は、1995年の本で作られた言葉
- 「思っているより勇敢で賢い」は、原作ではなくディズニー作品の言葉
プーさんの名言一覧
この記事で紹介する主な言葉を、英語の原文と出典つきで一覧にします。
| 名言(意味) | 英語の原文 | 出典 |
|---|---|---|
| ぼくは、ちいさな脳みそのクマだから | I am a Bear of Very Little Brain | 原作『クマのプーさん』 |
| ハチって、どうするかわからない | You never can tell with bees. | 原作『クマのプーさん』第1章 |
| いちばん好きなのは、何もしないこと | What I like doing best is Nothing. | 原作『プー横丁にたった家』最終章 |
| きみがいるのを確かめたかっただけ | I just wanted to be sure of you. | 原作『プー横丁にたった家』 |
| 何もしないことが、最高の何かにつながる | Doing nothing often leads to the very best something. | 実写映画『プーと大人になった僕』 |
| きみは自分が思っているより勇敢で、賢い | You're braver than you believe… | ディズニー作品(1997年) |
くまのプーさんとは
くまのプーさんは、イギリスの作家A・A・ミルンが、息子のクリストファー・ロビンと、そのぬいぐるみたちをもとに書いた物語の主人公で、挿絵はE・H・シェパードが描きました。
1926年に『クマのプーさん』、1928年に『プー横丁にたった家』が出版され、日本では1940年に石井桃子さんの訳で岩波書店から出版されたのが始まりです(参考:岩波書店)。
ディズニーは1966年に短編アニメ『プーさんとはちみつ』を公開し、1977年には長編『くまのプーさん 完全保存版』、2018年には大人になったクリストファー・ロビンを描いた実写映画『プーと大人になった僕』が公開されました。
原作はアメリカで著作権の保護期間が終わり、英語の原文はProject Gutenbergで読めるようになっています。
石井桃子さんの訳で読み継がれてきた岩波少年文庫の『クマのプーさん』では、プーさんの言葉を原作の流れの中で読めます。
\ 100エーカーの森の物語を名訳で /
原作のプーさんの名言
原作のプーさんの言葉は、自分を「ちいさな脳みそ」と言いながら、まっすぐで素朴な考え方が魅力です。
ぼくは、ちいさな脳みそのクマだから
原作『クマのプーさん』でプーが自分のことを言う言葉で、原文は「I am a Bear of Very Little Brain, and long words Bother me.」です(参考:Project Gutenberg『Winnie-the-Pooh』)。
長い言葉は苦手だ、と続くこの言葉は、難しく考えすぎない、プーさんらしい生き方を表す言葉として親しまれています。
ハチって、どうするかわからないからね
原作『クマのプーさん』の第1章で、ハチミツをとるために風船で木に近づいたプーが言う言葉で、原文は「You never can tell with bees.」です。
ハチをだますために黒い雨雲のふりをするという、のんきで一生懸命なプーの姿が描かれた、物語の最初の名場面です。
ものを入れるのに便利な壺をあげることを思いついて、うれしいよ
原作『クマのプーさん』の第6章で、誕生日のイーヨーに、中身のハチミツを食べてしまった空っぽの壺を贈ったプーが言う言葉で、原文は「I'm very glad that I thought of giving you a Useful Pot to put things in.」です。
ピグレットが贈った割れた風船を、イーヨーが空っぽの壺に出し入れして喜ぶ場面で、名言集で見かける「からっぽのものを貰うとうれしい」は、この場面をもとにした言い方と考えられます。
「何もしない」ことの大切さを大人の目線で味わうなら、実写映画『プーと大人になった僕』もおすすめです。
\ 大人になったクリストファー・ロビンの物語 /
「何もしない」についての名言
プーさんの名言の中でも特に有名なのが、「何もしない(Doing Nothing)」についての言葉です。
ぼくがいちばん好きなのは、何もしないこと
原作『プー横丁にたった家』の最終章で、学校へ行くことになったクリストファー・ロビンが、プーに語る言葉で、原文は「What I like doing best is Nothing.」です(参考:Project Gutenberg『The House at Pooh Corner』)。
「何もしない」とは、聞こえないものに耳をすましながら、ただ歩いて、何も気にしないでいること、という意味の言葉が続き、子ども時代の自由な時間の終わりがやさしく描かれています。
プー、どんなことがあっても、わかってくれるよね
同じ最終章で、森を離れるクリストファー・ロビンが、プーにかける言葉で、原文は「Pooh, whatever happens, you will understand, won't you?」です。
大人になっていく少年と、森に残るプーとの別れを描いた、原作の締めくくりにふさわしい感動の言葉として知られています。
何もしないことが、最高の何かにつながることもある
2018年の実写映画『プーと大人になった僕』で、仕事に追われる大人のクリストファー・ロビンに、プーが語りかける言葉で、原文は「Doing nothing often leads to the very best something.」です。
かつて少年が語った「何もしない」の大切さを、今度はプーが大人になった彼に返すという流れで、忙しい毎日を送る大人の心に響く言葉になっています。
ピグレットやイーヨーたちの名言
100エーカーの森の仲間たちの言葉にも、それぞれの性格が表れた心に残る言葉があります。
なんでもないんだ。ただ、きみがいるのを確かめたかっただけ(ピグレット)
原作『プー横丁にたった家』で、ピグレットがプーの手をとって言う言葉で、原文は「I just wanted to be sure of you.」です。
何か用があるわけではなく、そばにいることを確かめるだけで安心する、という小さなピグレットのやさしさが伝わる、友情の名言です。
気づいてくれてありがとう(イーヨー)
ディズニーのアニメで、いつも悲観的なロバのイーヨーが口にする言葉で、英語では「Thanks for noticing me.」です。
自分なんて、と思いながらも、仲間に気にかけてもらえるとうれしいという気持ちが表れていて、大人のファンにも共感されています。
ディズニーのほかのキャラクターの言葉は、ディズニープリンセスの名言を解説した記事で紹介しています。
「プーさん 名言 クレイジー」と言われる言葉の真相
プーさんの言葉は、のんびりした子ども向けの言葉に見えて、大人が読むと、思わず笑ってしまうほど自分勝手でクレイジーに聞こえるものもあります。
ラビットがもう玄関を使えなくなるんじゃないかと思いはじめていたんだ
原作『クマのプーさん』の第2章で、ラビットの家でハチミツを食べすぎて、出口の穴にはさまって動けなくなったプーが言う言葉で、原文には「Rabbit might never be able to use his front door again.」とあります。
自分のせいで家の入り口をふさいでいるのに、まるで他人ごとのように心配するプーの言い方が、ネットでは「クレイジー」「サイコパス」と面白がられています。
つづりはいいけど、グラグラしてて、文字が変なところに行っちゃう
原作『クマのプーさん』の第6章で、文字を書くことについてプーが言う言葉で、原文は「It's good spelling but it Wobbles, and the letters get in the wrong places.」です。
自分のつづりの間違いを、文字がグラグラするせいにしてしまう、とぼけた言い方が、プーさんの面白い迷言として人気があります。
ネットで作られた「クレイジーな迷言」
ネットには、タキシードを着たプーさんの画像に皮肉な言葉を組み合わせたミームなど、ファンが作った「クレイジーな迷言」もたくさん出回っています。
こうした言葉は、原作やディズニー作品のセリフではないので、プーさんの名言として紹介するときは区別が必要です。
プーさんの言葉ではない名言
プーさんの名言として紹介される言葉の中には、まったく別の作品や本の言葉もあります。
「さよならを言うのが辛い何かがあるなんて、ぼくはなんて幸せなんだろう」
プーさんの感動の名言として広く紹介されていますが、原作にもディズニー作品にも出てこない言葉です。
もとは、スキーの事故で体が不自由になった実在の選手を描いた1975年のアメリカ映画『あの空に太陽が』の言葉で、プーさんのイラストと組み合わされて広まったものです。
「100歳まで生きるなら、ぼくは100歳から1日引いた日まで生きたい」
友情の名言として人気ですが、原作の言葉ではなく、1995年に出版されたジョーン・パワーズの本『Pooh's Little Instruction Book』に収められた言葉です。
原作の世界をもとに作られた本の言葉なので、プーさんの言葉ではあっても、ミルンの原作の言葉ではありません。
「きみは自分が思っているより勇敢で、見た目より強くて、思っているより賢い」
原作者ミルンの言葉として紹介されることが多いのですが、1997年のディズニー作品『くまのプーさん クリストファー・ロビンを探せ!』で、クリストファー・ロビンがプーに言う言葉です。
原文は「You're braver than you believe, and stronger than you seem, and smarter than you think.」で、原作ではなくディズニー作品の名言です。
「愛は書くものじゃないよ。感じるものだよ」
プーとピグレットの会話として広まった言葉ですが、原作にもディズニー作品にも見当たらず、2010年代ごろからSNSやグッズで広まったものと考えられています。
プーさんの名言に関するよくある質問
プーさんの「何もしない」の名言はどこに出てきますか?
原作『プー横丁にたった家』の最終章で、クリストファー・ロビンが語る言葉です。
プーさんの名言がクレイジーと言われるのはなぜですか?
ラビットの家にはさまったときの他人ごとのような言い方など、大人が読むと自分勝手で面白く聞こえる言葉があるためです。
「さよならを言うのが辛い何かがあるなんて」はプーさんの言葉ですか?
原作にもディズニー作品にもなく、1975年の映画『あの空に太陽が』の言葉です。
プーさんの短い名言は?
「You never can tell with bees.」や「I just wanted to be sure of you.」が、短くて英語でも覚えやすい言葉です。
プーさんの名言まとめ
プーさんの名言は、言葉だけでなく、A・A・ミルンの原作か、ディズニー作品か、実写映画かまで確かめると、のんびりした言葉の奥にある本当の意味と、クレイジーにも見える独特の面白さがよくわかります。
原作の「何もしない」の言葉や、ピグレットの「きみがいるのを確かめたかっただけ」には、忙しい大人の心をそっとほどく力があります。
一方で、「さよならを言うのが辛い」や「100歳から1日引いた日」のように、別の作品や本の言葉がプーさんの名言として広まった例もあります。
持ち帰りたい一言を選ぶなら、「What I like doing best is Nothing.」です。
気になった言葉は、原作の本や映画で、前後の物語ごと味わってみてください。