ドラえもんの名言を探していると、同じセリフでも発言者が違って書かれていたり、何巻の話なのか書かれていなかったりすることがあります。
子ども向けの作品として読み流していた言葉が、大人になってから急に刺さるという経験をした方も多いはずです。
この記事では、てんとう虫コミックスの巻数と収録話まで特定できた言葉だけを取り上げます。
誰が、どんな場面で口にしたのかまで含めて読み解いていきます。
この記事のポイント
- てんとう虫コミックスの巻数と収録話を明記
- 有名なあの言葉は、実はドラえもんのセリフではない
- しずか・先生・のび太のパパなど脇役の言葉も収録
- ジャイアンの有名なセリフに生じている誤解を解説
ドラえもんの名言が大人に刺さる理由
この作品の言葉が年齢を重ねてから効いてくるのには、はっきりした理由があります。
説教として言われていないからです。
教える側もまた未熟に描かれている
ドラえもんは未来から来た高性能なロボットですが、作中では感情的になり、失敗し、恋に悩む姿が繰り返し描かれます。
完璧な存在が上から諭すのではなく、同じように迷っている者同士が言葉をかけ合う構図になっています。
言葉の説得力が、話し手の立派さではなく状況の切実さから生まれているのがこの作品の特徴です。
だからこそ読み手も身構えずに受け取れます。
ほかの作品の名セリフと読み比べたい方は、アニメの名言をまとめた記事もあわせて確認してみてください。
道具が問題を解決しない
ひみつ道具が出てくる話の多くは、道具で解決した直後に、それが原因で事態が悪化する流れをたどります。
結果としてのび太は、自分でどうにかするしかない場所に戻されます。
便利さを提示しておきながら、最後は本人の選択に委ねるという構造が、名言の重みを支えています。
自分を否定しそうなときに効く言葉
この作品で最も引用される言葉は、落ち込んでいる相手にかけられたものです。
どちらも、責める言葉を一切使っていません。
いちばんいけないのは じぶんなんかだめだと思いこむことだよ
てんとう虫コミックス第7巻「好きでたまらニャイ」に収録されている言葉です。
よくドラえもんのセリフとして紹介されますが、これはのび太がドラえもんに向かって言った言葉です。
近所の猫に恋をしたドラえもんが、自分の見た目を気にして踏み出せずにいる場面で出てきます。
普段は助けられる側ののび太が、この回では励ます側に回っています。
いつも自信のない人物が言うからこそ、この言葉には説得力があります。
自分でも同じことを思ったことがあるから、相手の落ち込み方が分かるという関係です。
発言者が入れ替わって紹介されている例が非常に多い言葉です。
引用する際は「のび太がドラえもんにかけた言葉」と添えると、場面の面白さまで伝わります。
目が前向きについているのはなぜだと思う
てんとう虫コミックス第9巻「ジ~ンと感動する話」で、先生がのび太にかける言葉です。
テストで0点を取り、家に帰れずに教室で一人残っているところに声をかける場面です。
先生は点数について責めず、済んだことを悔やんでも仕方がないと切り替えを促します。
そのうえで、目が顔の前についている理由を前へ進むためだと結びます。
叱る相手として描かれてきた人物が、追い詰められた瞬間だけ味方に回るという構成が効いている場面です。
子ども向けの作品に大人が救われる構図は、アンパンマンの名言を扱った記事でも同じように確認できます。
作中の言葉をまとめて読み返したい場合は、名コマと一緒に収録された公式の名言集が出ています。
\ 絵と一緒に読むと場面ごと思い出せる /
迷って動けないときのドラえもんの名言
行動できない状態を扱った言葉が、この作品には多く登場します。
共通しているのは、やる気を出せと言っていない点です。
安全な道をえらぶことが正解ではない
てんとう虫コミックス第42巻「右か左か人生コース」でのドラえもんの言葉です。
のび太は少し先の未来を確認できる道具を使い、どちらの道にも困難があると知って動けなくなります。
そこでドラえもんは、道を選ぶこととは歩きやすい道を選ぶことではないと言い切ります。
先が分かる道具を出しておきながら、その結果に従うなと諭す流れになっているのが面白いところです。
選択に迷う人が求めているのは正解ではなく、迷ってよいという許可なのかもしれません。
なやんでるひまに、一つでもやりなよ
てんとう虫コミックスプラス第2巻「人間プログラミングほくろ」の言葉です。
やることが多すぎると訴えながら、実際には何も手をつけていないのび太に向けられています。
短い言葉ですが、悩む時間そのものを作業時間から差し引いているという指摘です。
やる気が出るまで待つのではなく、手を動かすと後から気持ちがついてくるという順番を示しています。
りっぱすぎる決心は、きっと三日ぼうずになる
てんとう虫コミックス第16巻「りっぱなパパになるぞ!」に収録されています。
将来のために睡眠時間を削るという極端な計画を立てたのび太に対し、ドラえもんが釘を刺す場面です。
意志の弱さを責めるのではなく、目標の設定が高すぎることを問題にしています。
この3つの言葉は、いずれも根性を要求していません。
悩む時間を減らす、目標を下げる、先を読みすぎないという、負荷を軽くする方向で一貫しています。
人の値打ちを問い直すセリフ
この作品には、何をもって人を評価するのかを正面から扱った回があります。
語るのはドラえもんではなく、周囲の人物です。
人間の値うちは、テストの点数だけできまるものじゃないのよ
てんとう虫コミックス第25巻「な、なんと!! のび太が百点とった」でのしずかの言葉です。
のび太が本当に100点を取ったのに誰も信じず、証明しようとするほど嘘つき扱いされていく話です。
しずかは点数の真偽ではなく、のび太の優しさという別の軸を持ち出します。
評価されない状況にいる人に対して、評価の物差しそのものを変えて見せる言葉です。
人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ
てんとう虫コミックス第25巻「のび太の結婚前夜」で、しずかの父親が語る言葉です。
結婚式の前夜、不安になって泣き出した娘に対し、のび太を選んだ判断は正しかったと伝えます。
能力でも将来性でもなく、他人の感情に反応できることを最大の長所として挙げているのが特徴です。
作中でのび太が繰り返し失敗してきた事実を否定せず、そのうえで別の価値を提示しているため、慰めに聞こえません。
はたらくことのよろこびをしりなさい
てんとう虫コミックス第4巻「してない貯金を使う法」でのパパの言葉です。
欲しいものがあるからと金銭をせがむのび太に対し、肩たたきでもいいから自分の力で買えと突き放します。
厳しく聞こえますが、話の主眼は金額ではなく、手に入れたときの嬉しさの大きさに置かれています。
父親が働くことについて語る場面としては、野原ひろしの名言を集めた記事にも似た性質の言葉が並んでいます。
世界の見え方を変えるドラえもんの名言
日常の悩みから離れ、物事の構造そのものを扱った言葉もあります。
児童向けの作品としては踏み込んだ内容です。
戦争なんてそんなもんだよ
てんとう虫コミックス第1巻「ご先祖さまがんばれ」でのドラえもんの言葉です。
過去の戦に行くことになったのび太が、正しいほうを助けなければと言い出した場面で返されます。
ドラえもんは、どちらの側も自分が正しいと思っていると答えます。
善と悪に分けて考えようとした瞬間に、その前提を外してくる構成です。
第1巻の時点でこの視点が置かれていることに、この作品の射程の広さが表れています。
未来なんてちょっとしたはずみでどんどん変わる
てんとう虫コミックス第12巻「あいあいパラソル」に収録されています。
将来を知って絶望しているのび太に、ドラえもんが未来の不確定さを説く場面です。
未来を見せる道具を持つ立場でありながら、その未来は固定されていないと言い切ります。
家族を扱った作品の言葉は、クレヨンしんちゃんの名言をまとめた記事とも読み比べると違いが見えてきます。
出典を確かめたいドラえもんの名言
長く読まれている作品のため、原作とは違う形で広まっている言葉があります。
引用する前に知っておきたい点を整理します。
お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの
ジャイアンの自分勝手さを表す言葉として定着していますが、原作の扱いは少し違います。
この考え方の原型は、藤子・F・不二雄が描いた別作品に登場するカバ田というキャラクターのセリフにあります。
漫画を返さないと抗議された際、永久に借りておくだけだと言い返す場面です。
さらに2011年放送のテレビアニメオリジナル回では、この言葉が正反対の意味で使われています。
入学式に遅刻しランドセルを失くしたのび太のために、ジャイアンが雨の中を走り回って取り戻す話です。
なぜそこまでするのかと問われたジャイアンが、同じ言葉を返します。
ここでは、相手の困りごとも自分のものとして引き受けるという意味に反転しています。
この感動的なバージョンは、原作漫画には存在しないテレビアニメ独自の話です。
紹介する際は、原作のセリフとして扱わずアニメオリジナルであることを添えてください。
原作とアニメでセリフが違うことがある
もう一つ知っておきたいのが、媒体によって言葉遣いが変えられている点です。
原作漫画では、しずかがのび太を「あんた」と呼ぶ場面があります。
テレビアニメではキャラクター像を統一するため、こうした表現がほぼすべて言い換えられています。
そのためネット上で見かける「あんた」表記は、改変ではなく原作に忠実な表現という場合があります。
どちらが正しいかではなく、どの媒体の言葉なのかで区別するのが正確です。
発言者を自分の目で確かめたい方は、あの言葉が収録された第7巻から読み返してみてください。
\ のび太が励ます側に回る回を原作で確かめる /
ドラえもんの名言に関するよくある質問
ドラえもんの名言で最も有名なものはどれですか?
第7巻「好きでたまらニャイ」の「いちばんいけないのは じぶんなんかだめだと思いこむことだよ」が最も広く知られています。
ただしこの言葉はドラえもんではなく、のび太が発したものです。
引用する際に発言者を間違えている例が多いため、原作で確認してから使うことをおすすめします。
ドラえもんの名言が何巻の話か調べる方法はありますか?
収録話のタイトルから探すのが確実です。
てんとう虫コミックスは各巻に複数の話が収録されており、話のタイトルが分かれば巻数もたどれます。
セリフだけで検索すると、まとめサイトごとに巻数が食い違っていることがあるため注意してください。
ドラえもんの名言は仕事の場面で使っても違和感がありませんか?
相手を選べば問題ありません。
この作品の言葉は目標を下げる方向や、悩む時間を減らす方向のものが多く、精神論になりにくい性質があります。
ただし児童向け作品という先入観を持たれる場合もあるため、どんな場面のセリフかを一言添えると伝わりやすくなります。
映画版のドラえもんにも名言はありますか?
あります。
映画では地球規模の危機や別の文明との遭遇が描かれるため、自己犠牲や連帯を扱った言葉が多くなります。
普段はのび太を困らせているジャイアンが頼れる側に回るのも、映画版でよく見られる展開です。
ドラえもんの名言のまとめ
ドラえもんの名言が大人になってから効いてくるのは、言葉が説教の形をしていないからです。
語る側も迷い、失敗している人物として描かれているため、身構えずに受け取れます。
迷いを扱った言葉は、いずれも悩む時間を減らす、目標を下げる、先を読みすぎないという方向で一貫していました。
人の値打ちについては、しずかとその父親が、点数でも将来性でもない別の軸を示しています。
今日ひとつ持ち帰るなら、第7巻でのび太がドラえもんにかけた言葉を選んでみてください。
いつも自信のない人物が発したという事実まで含めて覚えておくと、自分に向けても使いやすくなります。
なお引用する際は、原作とアニメオリジナルの区別にだけ注意してください。
正確な情報は公式サイトをご確認ください。



