卒業には高村光太郎の「僕の前に道はない」のように未来へ踏み出す言葉が合い、定年退職にはこれまでの歩みをねぎらう言葉が合います。
ただ、ネットで見つかる名言の中には、話した人が違っていたり、出典がわからなかったりするものもあります。
贈る言葉の名言は、別れだけを強調せず、新しい挑戦や人とのつながりを前向きに捉える言葉を、出典を確かめて選ぶと、贈る相手にも伝わりやすくなります。
この記事では、卒業・恩師・定年退職・異動などの場面別に、出典を確かめられる名言と、添えやすい一言、寄せ書きのマナーまで紹介します。
この記事のポイント
- 卒業には高村光太郎の「僕の前に道はない」など、未来へ踏み出す言葉が合う
- 定年退職には、これまでの歩みをねぎらう言葉を選ぶ
- 「成功へ向かうエレベーターなどない」はジグ・ジグラーの言葉として知られる
- 寄せ書きでは、誰の言葉かを添え、忌み言葉を避ける
贈る言葉に使える名言一覧
この記事で紹介する主な名言を、話した人と出典、贈りやすい場面つきで一覧にします。
| 名言 | 人物 | 出典 | 場面 |
|---|---|---|---|
| 僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る | 高村光太郎 | 詩「道程」 | 卒業 |
| 人生は、思い切った冒険か、無か | ヘレン・ケラー | 著書『Let Us Have Faith』 | 卒業・新しい挑戦 |
| 今あるもので、何ができるかを考えるときである | ヘミングウェイ | 小説『老人と海』 | 定年退職 |
| 置かれた場所で咲きなさい | 渡辺和子 | 著書『置かれた場所で咲きなさい』 | 異動・定年退職 |
| がんばってくたびれちゃいけません。くたびれないようにがんばらなきゃ | 永六輔が紹介した言葉 | 著書『二度目の大往生』 | 恩師・定年退職 |
| 成功へ向かうエレベーターなどない。階段を上らなければならない | ジグ・ジグラー | 講演や著書で知られる言葉 | 異動・新しい挑戦 |
卒業に贈りたい名言
卒業では、これから始まる新しい道を前向きに歩んでいけるような言葉が向いています。
僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る(高村光太郎)
詩人で彫刻家の高村光太郎が、1914年に発表した詩「道程」の冒頭の言葉です。
決められた道がないことを不安ではなく自由として受け止め、自分の歩いたあとに道ができていくという、卒業の門出にぴったりの言葉です。
添える一言の例:「あなただけの道を切り拓いていってください」
人生は、思い切った冒険か、無か(ヘレン・ケラー)
ヘレン・ケラーが1940年の著書『Let Us Have Faith』に書いた「Life is either a daring adventure, or nothing.」という言葉です。
同じ文章の中で「安全とはほとんど迷信だ」とも書いていて、目と耳が不自由だった彼女が、恐れずに挑戦することの大切さを伝えています。
添える一言の例:「恐れずに、新しい世界へ飛び出していってね」
渡辺和子さんの『置かれた場所で咲きなさい』には、つらいときに自分を支える言葉が、やさしい文章でつづられています。
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定年退職に贈りたい名言
定年退職では、挑戦を促す言葉よりも、これまでの歩みをねぎらい、これからの時間を大切にしてほしいという気持ちが伝わる言葉を選びます。
今あるもので、何ができるかを考えるときである(ヘミングウェイ)
ヘミングウェイの小説『老人と海』で、老漁師サンチャゴが「今はないものについて考えるときではない」と自分に言い聞かせる場面の言葉です。
これまでに積み重ねた経験を生かして、新しい毎日を楽しんでほしいという思いを込めて贈れます。
添える一言の例:「これまでの経験を生かして、充実した毎日をお過ごしください」
がんばってくたびれちゃいけません。くたびれないようにがんばらなきゃ
永六輔さんが1995年の著書『二度目の大往生』で紹介した言葉です。
永六輔さん本人の言葉ではなく、旅先で出会った人たちの言葉を集めた本に収められたものなので、贈るときは「永六輔さんの本で紹介された言葉」と添えると正確です。
長年がんばってきた人に、無理をせず元気でいてほしいという気持ちを伝えられます。
異動・転職に贈りたい名言
異動や転職では、新しい環境での活躍を願い、背中を押してくれる言葉が向いています。
置かれた場所で咲きなさい(渡辺和子)
修道女で教育者の渡辺和子さんが、2012年に出した著書のタイトルにもなった言葉です(出典:幻冬舎)。
思いどおりでない場所に置かれても、そこで自分らしく花を咲かせる努力をしようというメッセージで、新しい職場へ向かう人に贈りやすい言葉です。
添える一言の例:「新しい場所でも〇〇さんらしく活躍してください」
成功へ向かうエレベーターなどない。階段を上らなければならない(ジグ・ジグラー)
アメリカの自己啓発の講演家ジグ・ジグラーの言葉として知られる「There is no elevator to success. You have to take the stairs.」です。
日本では作者不明やほかの人の言葉として紹介されることもありますが、英語圏ではジグラーの言葉として広く知られています。
添える一言の例:「一歩ずつ、着実に目標へ進んでいってください」
寄せ書きで名言を贈るときのマナー
名言は、贈り方しだいで気持ちが伝わる言葉にも、押しつけがましい言葉にもなります。
寄せ書きやメッセージカードに書くときは、次のポイントを意識すると安心です。
- 「〇〇の言葉より」と、誰の言葉かを添える
- 「私の好きな言葉を贈ります」など、ひと言前置きを入れる
- 目上の人には、挑戦を促す言葉よりねぎらいの言葉を選ぶ
- 名言だけで終わらせず、自分の言葉で感謝を一言添える
忌み言葉と重ね言葉に気をつける
門出を祝う寄せ書きでは、「去る」「終わる」「切れる」「離れる」など、別れや終わりを連想させる忌み言葉は避けるのがマナーです。
「重ね重ね」「たびたび」など、繰り返しを連想させる重ね言葉も、場面によっては避けたほうが安心です。
海外の名言を日本語訳で贈るときは、訳の中にこうした言葉が入っていないかも確かめましょう。
スピーチで名言を使うときのコツもあわせて知りたい方は、スピーチに使える名言を解説した記事も読んでみてください。
歌『贈る言葉』の基本情報
「贈る言葉」という言葉から、海援隊の歌を思い浮かべる人も多いかもしれません。
海援隊『贈る言葉』
『贈る言葉』は、海援隊が1979年に発売した曲で、作詞は武田鉄矢さん、作曲は千葉和臣さんです。
武田鉄矢さんが主演したドラマ『3年B組金八先生』の主題歌として広く知られ、今も卒業の季節の定番曲として親しまれています。
贈る言葉として広まった誤った名言
贈る言葉として紹介される名言の中には、話した人が違うものもあります。
何事も達成するまでは不可能に見えるものである
ネルソン・マンデラの言葉として広まっていますが、本人が言ったという記録は確認されていません。
狂気とは、同じことを繰り返して違う結果を期待すること
アインシュタインの言葉として紹介されることがありますが、本人の著作や発言の記録には見当たらず、別の作家の本などが古い出典とされています。
肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ
卒業式の言葉として有名ですが、もとはイギリスの哲学者J・S・ミルが著書『功利主義』に書いた「満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよい」という言葉が変化したものです。
贈る言葉の名言に関するよくある質問
卒業に贈る短い名言はありますか?
高村光太郎の「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」が短く、卒業の門出に合う言葉です。
定年退職する人に贈る名言は?
ヘミングウェイの「今あるもので、何ができるかを考えるときである」など、これまでの歩みをねぎらう言葉が向いています。
寄せ書きで名言を書くときの注意点は?
「〇〇の言葉より」と誰の言葉かを添え、「去る」「終わる」などの忌み言葉を避けましょう。
名言だけでなく、自分の言葉で感謝を一言添えると気持ちが伝わります。
歌『贈る言葉』は誰の曲ですか?
海援隊が1979年に発売した曲で、作詞は武田鉄矢さんです。
ドラマ『3年B組金八先生』の主題歌として知られています。
贈る言葉の名言まとめ
贈る言葉の名言は、別れだけを強調せず、新しい挑戦や人とのつながりを前向きに捉える言葉を、出典を確かめて選ぶと、贈る相手にも伝わりやすくなります。
卒業なら未来へ踏み出す言葉、定年退職ならねぎらいの言葉など、相手と場面に合った言葉を選びましょう。
マンデラやアインシュタインの言葉とされるものの中には、話した人が違う言葉もあります。
持ち帰りたい一言を選ぶなら、高村光太郎の「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」です。
名言に自分の言葉を一言添えて、気持ちの伝わる贈る言葉にしてください。