『ハリー・ポッター』の名言として広まっている言葉には、J.K.ローリングの原作小説にはなく、映画の中だけで語られた台詞も混ざっています。
台詞だけを並べて読むより、誰が誰に言ったのか、何巻の何章のどんな場面かまで確かめると、キャラクターの信念や物語の中での意味がはっきり見えてきます。
たとえばダンブルドアの「選択」についての言葉は、原作と映画で語順が違い、同じ人物の言葉でも強調される部分が変わります。
ここで取り上げる30の言葉のうち、26は原作で巻と章まで確かめられる言葉で、4つは映画だけの台詞です。
この記事のポイント
- 原作の言葉26と映画だけの台詞4を分けて紹介
- ダンブルドアの言葉は各巻の終盤の章に多い
- 「選択」の言葉は原作と映画で語順が違う
- 「明かりをつければ幸せは見つかる」は映画『アズカバンの囚人』の台詞
ハリー・ポッターの名言一覧
紹介する30の言葉を、発言者と出典つきで一覧にします。
| 言葉の要旨 | 発言者 | 出典 |
|---|---|---|
| ハリー、おまえは魔法使いだ | ハグリッド | 1巻 第4章 |
| 夢に浸って、生きることを忘れてはいけない | ダンブルドア | 1巻 第12章 |
| 本や賢さより大切なのは友情と勇気 | ハーマイオニー | 1巻 第16章 |
| 整理された心には、死も次の大きな冒険 | ダンブルドア | 1巻 第17章 |
| 名前を恐れると、そのものへの恐れが大きくなる | ダンブルドア | 1巻 第17章 |
| 友に立ち向かうにも、同じだけの勇気がいる | ダンブルドア | 1巻 第17章 |
| 助けを求める者には、ホグワーツで必ず助けが与えられる | ダンブルドア | 2巻 第14章 |
| 本当の自分を示すのは、能力より選択 | ダンブルドア | 2巻 第18章 |
| 脳のありかが見えないものは信用するな | アーサー・ウィーズリー | 2巻 第18章 |
| 愛した人は、本当にいなくなるわけではない | ダンブルドア | 3巻 第22章 |
| 人を知りたければ、目下の者への接し方を見よ | シリウス | 4巻 第27章 |
| 正しいことと楽なことのどちらを選ぶか | ダンブルドア | 4巻 第37章 |
| 団結すれば強く、分裂すれば弱い | ダンブルドア | 4巻 第37章 |
| 大丈夫、あなたも私と同じくらい正気 | ルーナ | 5巻 第10章 |
| 世界は善人と死喰い人に分かれているわけではない | シリウス | 5巻 第14章 |
| ティースプーンほどの感情の幅 | ハーマイオニー | 5巻 第21章 |
| 無関心と放置は、あからさまな嫌悪より害が大きい | ダンブルドア | 5巻 第37章 |
| 根っからのダンブルドアの人間 | スクリムジョールとハリー | 6巻 第16章 |
| 死や闇を前に恐れるのは、未知のものだけ | ダンブルドア | 6巻 第26章 |
| 心配はいらない、君と一緒だから | ダンブルドア | 6巻 第26章 |
| ドビーは自由なしもべ妖精 | ドビー | 7巻 第23章 |
| 僕を見て(Look at me) | スネイプ | 7巻 第32章 |
| 永遠に(Always) | スネイプ | 7巻 第33章 |
| 死者ではなく、愛なく生きる者を哀れめ | ダンブルドア | 7巻 第35章 |
| 頭の中で起きていることでも、本物でないとは限らない | ダンブルドア | 7巻 第35章 |
| アルバス・セブルス、二人の校長から名前をもらった | ハリー | 7巻 エピローグ |
| どんなに暗いときでも、明かりをつければ幸せは見つかる | ダンブルドア | 映画『アズカバンの囚人』 |
| 言葉は尽きることのない魔法の源 | ダンブルドア | 映画『死の秘宝 PART2』 |
| ハグリッドのいないホグワーツなんてない | ハリー | 映画『秘密の部屋』 |
| 誰の中にも光と闇がある | シリウス | 映画『不死鳥の騎士団』 |
章番号は英国で刊行された原書の章立てによるもので、言葉の要旨は英語の原文を私なりに短くまとめたものです。
原作と映画、日本語版の基本
名言を読む前に、原作の小説と日本語版、映画の関係を簡単に押さえておきます。
『ハリー・ポッター』は、イギリスの作家J.K.ローリングが書いた全7巻の小説で、1巻は1997年に刊行されました。
J.K.ローリングの公式サイトでも、1巻はハリーの冒険の始まりの物語として紹介されています(出典:J.K. Rowling公式サイト「Harry Potter and the Philosopher's Stone」)。
日本語版は松岡佑子さんの訳で静山社から出ていて、1巻『ハリー・ポッターと賢者の石』は1999年12月、7巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』は2008年7月に発売されました。
映画は『ハリー・ポッターと賢者の石』から『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』まで、全8作が作られています(出典:ワーナー・ブラザース公式サイト「ハリー・ポッター 作品一覧」)。
小説と映画では、同じ場面でも台詞が短くなったり、原作にない台詞が足されたりしているため、名言を引用するときはどちらの言葉かを分けておくと安心です。
ここでは原作の章番号を英国版の原書の章立てで示し、台詞は短い英語の原文と、私がまとめた日本語の要旨で紹介します。
日本語版の訳文で読みたいときは、本の該当する場面を開いてみてください。
海外の小説の名言をほかにも読みたい方は、小説の名言を作品と場面つきで紹介した記事も参考になります。
1巻『賢者の石』の名言
1巻では、ハリーが自分は魔法使いだと知る場面から、学年末のダンブルドアの言葉までが印象に残ります。
ハグリッド:ハリー、おまえは魔法使いだ
第4章「The Keeper of the Keys」で、海の上の小屋にハグリッドが現れ、ハリーに両親のことと、ハリー自身が何者なのかを告げる場面の言葉です。
原作の原文は「Harry — yer a wizard.」で、ハグリッドのなまりがそのまま綴られています。
映画で知られる「You're a wizard, Harry」とは語順も綴りも違い、原作ではハグリッドの話し方の個性が文字に表れています。
ダーズリー家に居場所のなかった少年が、まったく新しい世界に招かれる瞬間として、シリーズの始まりを象徴する一言と受け取れます。
ダンブルドア:夢に浸って、生きることを忘れてはいけない
第12章「The Mirror of Erised」で、毎晩みぞの鏡の前に座りに来るハリーに、ダンブルドアがかけた言葉です。
鏡にはハリーの亡くなった家族が映り、ハリーはその姿を見るために夜ごと鏡のある部屋へ通っていました。
ダンブルドアは鏡を別の場所へ移すと告げ、もう鏡を探さないようにハリーを諭します。
原文は「It does not do to dwell on dreams and forget to live」です。
会えない人を思う気持ちを否定するのではなく、それでも今日を生きることに目を向けてほしいという、静かな励ましとして読むことができます。
ハーマイオニー:本や賢さより大切なのは友情と勇気
第16章「Through the Trapdoor」で、賢者の石を守る仕掛けを抜けたあと、ハリーが一人で先へ進む直前に、ハーマイオニーが言う言葉です。
原文は「There are more important things — friendship and bravery」で、その前に本や賢さを挙げています。
学年でいちばんの勉強家であるハーマイオニーが、自分の得意なこと以上に、友情と勇気が大切だと言い切るところに、この場面の重みがあります。
ハロウィーンのトロールの事件をきっかけにハリーやロンと友だちになったハーマイオニーの変化も、この一言から伝わってきます。
ダンブルドア:整理された心には、死も次の大きな冒険
第17章「The Man with Two Faces」で、医務室で目を覚ましたハリーに、ダンブルドアが賢者の石を壊したことを話す場面の言葉です。
石がなくなれば、石を作ったニコラス・フラメル夫妻はやがて死を迎えることになり、それを気にかけるハリーに、ダンブルドアがこう語ります。
原文は「To the well-organized mind, death is but the next great adventure」です。
長い年月を生きてきたフラメル夫妻が、身のまわりを整えて死を受け入れる姿を、ダンブルドアは冒険にたとえています。
死を恐れて永遠の命を求めるヴォルデモートと、死を受け入れる人々を対比する、シリーズ全体につながる考え方と受け取れます。
身近な人を亡くしたばかりのときに無理に前向きになる必要はなく、心の整理がついたころに思い出せばよい言葉です。
ダンブルドア:名前を恐れると、そのものへの恐れが大きくなる
同じ第17章の医務室で、ヴォルデモートを名前で呼ぶようハリーに勧める流れで語られる言葉です。
魔法界では多くの人が、ヴォルデモートの名前を口にすること自体を避け、遠回しな呼び方をしていました。
原文は「Fear of a name increases fear of the thing itself」です。
怖いものほど正面から名前を呼ぶことで、相手を必要以上に大きく見せないという考え方で、日常の不安にも当てはめやすい言葉です。
ダンブルドア:友に立ち向かうにも、同じだけの勇気がいる
第17章の学年末の宴で、寮杯の得点を発表するダンブルドアが、ネビル・ロングボトムに10点を与えるときの言葉です。
ネビルは、賢者の石を守りに行く夜、寮を抜け出そうとするハリーたちを、寮のために止めようとして立ちはだかりました。
原文の後半は「just as much to stand up to our friends」で、敵に立ち向かう勇気と並べて語られます。
この10点でグリフィンドールが寮杯を手にし、目立たなかったネビルの勇気が、全校生徒の前で認められます。
仲の良い相手に「それは違う」と伝える難しさを知っている人ほど、心に残る言葉です。
ダンブルドアの言葉が続く第12章と第17章の場面は、日本語版の1巻『ハリー・ポッターと賢者の石』で、前後の流れごと読むことができます。
\ 物語の始まりを日本語で読む /
2巻『秘密の部屋』の名言
2巻では、ハリーが自分とスリザリンのつながりに悩み、その答えとなる言葉が最後に語られます。
ダンブルドア:助けを求める者には、ホグワーツで必ず助けが与えられる
第14章「Cornelius Fudge」で、理事会の決定によって校長の職を停止されたダンブルドアが、ハグリッドの小屋を去るときに残した言葉です。
その場には、透明マントをかぶったハリーとロンが隠れていて、ダンブルドアの言葉を聞いていました。
原文は「help will always be given at Hogwarts to those who ask for it」です。
学校を離れても、ここに自分への忠誠が残っている限り本当に去ったことにはならない、という直前の言葉とあわせて読むと、残された生徒たちへの約束のように受け取れます。
秘密の部屋でハリーが追い詰められる終盤の場面とあわせて読み返すと、この言葉の意味がよりはっきりします。
ダンブルドア:本当の自分を示すのは、能力より選択
第18章「Dobby's Reward」で、組分け帽子が自分をスリザリンに入れようとしたことに悩むハリーに、ダンブルドアが語る言葉です。
ハリーは、蛇の言葉を話せることなど、ヴォルデモートとの共通点を気にしていました。
ダンブルドアは、帽子にスリザリンは嫌だと頼んでグリフィンドールに入ったのはハリー自身だと伝えます。
原文は「It is our choices, Harry, that show what we truly are」で、このあと能力よりもずっと、と続きます。
生まれ持ったものではなく、自分で選んだ行動が人を形づくるという考え方は、シリーズ全体を通したテーマの一つと受け取れます。
4巻の第36章「The Parting of the Ways」でも、ダンブルドアは医務室で、魔法大臣のファッジに同じ考え方をぶつけています。
血筋の純粋さばかりを重んじるファッジに、「it matters not what someone is born, but what they grow to be」と言い返す場面で、どう生まれたかではなく、どう育っていくかが大切だ、という意味です。
映画での言い回しは、後半の「映画だけの名台詞と、原作との違い」で比べています。
アーサー・ウィーズリー:脳のありかが見えないものは信用するな
同じ第18章で、リドルの日記に操られていた娘のジニーに、父のアーサー・ウィーズリーが言う言葉です。
原文の後半は「if you can't see where it keeps its brain」で、自分で考えて話しかけてくるものへの警戒を説いています。
正体を確かめないまま、心の内を打ち明けられる日記に頼ってしまった危うさを、父親らしい言い方でたしなめています。
出どころの分からない情報をうのみにしないという意味で、ネットの情報があふれる今にも通じる言葉です。
3巻『アズカバンの囚人』と4巻『炎のゴブレット』の名言
3巻と4巻では、亡くなった人とのつながりや、人の本性の見分け方、闇の時代を前にした選択が語られます。
ダンブルドア:愛した人は、本当にいなくなるわけではない
3巻の第22章「Owl Post Again」で、ダンブルドアがハリーに語る言葉です。
ハリーは前の晩、湖のほとりで吸魂鬼に囲まれたとき、遠くから守護霊を出して助けてくれた人を、亡くなった父親だと思っていました。
実際に守護霊を出したのは、時間をさかのぼったハリー自身でした。
ダンブルドアは、愛した人は本当にいなくなるわけではなく、苦しいときにこそはっきり思い出されるのだと話し、父親はハリーの中に生きていると伝えます。
英語の原文は版によって言い回しがわずかに違うため、ここでは要旨だけを紹介します。
大切な人を亡くした人にとって、思い出すこと自体がつながりだと受け取れる、やさしい言葉です。
シリウス:人を知りたければ、目下の者への接し方を見よ
4巻の第27章「Padfoot Returns」で、ホグズミード近くの洞穴に隠れていたシリウスが、ハリーたちと話す場面の言葉です。
屋敷しもべ妖精のウィンキーを冷たく解雇したクラウチ氏について、ハーマイオニーの見方に賛成して、ロンに語ります。
原文は「take a good look at how he treats his inferiors, not his equals」です。
同じような考え方は本より前からあり、名言の出どころを調べるサイトは、1910年の新聞にほぼ同じ趣旨の表現があると紹介しています(出典:Quote Investigator「If You Want to Know What a Man's Like, Look at How He Treats His Inferiors」)。
のちにシリウス自身が屋敷しもべ妖精のクリーチャーを冷たく扱っていたことを思うと、この言葉は語った本人にも向けられた皮肉としても読めます。
ダンブルドア:正しいことと楽なことのどちらを選ぶか
4巻の最後の第37章「The Beginning」で、学年末の宴に集まった生徒たちへ、ダンブルドアが語りかける場面の言葉です。
三大魔法学校対抗試合の最中に命を落としたセドリック・ディゴリーを悼み、ダンブルドアは、彼がヴォルデモートに殺されたことを生徒たちに伝えます。
原文は「a choice between what is right and what is easy」です。
正しい道と楽な道に分かれたときは、セドリックのことを思い出してほしい、という呼びかけとして語られています。
事実を伏せておくほうが楽な状況で、あえて生徒たちに真実を話したダンブルドア自身の選択とも重なる言葉です。
ダンブルドア:団結すれば強く、分裂すれば弱い
同じ第37章の宴で、ダンブルドアが、ほかの学校から来た生徒も含めた全員に向けて語った言葉です。
原文は「We are only as strong as we are united, as weak as we are divided」です。
ヴォルデモートは仲たがいや敵意を広めることに長けていると話したうえで、学校や国の違いを越えて結びつくことを呼びかけています。
闇の時代の始まりを告げる4巻の終わりの言葉は、仲間が分断されていく5巻の物語へとつながっていきます。
5巻『不死鳥の騎士団』の名言
5巻では、周りから孤立したハリーを支える仲間の言葉や、大切な人を失ったあとの対話が描かれます。
ルーナ:大丈夫、あなたも私と同じくらい正気
第10章「Luna Lovegood」で、ホグワーツへ向かう馬車を引く生き物が自分にしか見えないと戸惑うハリーに、ルーナ・ラブグッドがかける言葉です。
その生き物は、のちにセストラルという魔法生物だと分かります。
原文は「Don't worry. You're just as sane as I am.」です。
周りから変わり者と見られがちなルーナが言うので少しおかしみもありますが、自分だけが違うものを見ている不安に寄り添う言葉です。
シリウス:世界は善人と死喰い人に分かれているわけではない
第14章「Percy and Padfoot」で、グリフィンドール寮の談話室の暖炉に顔を出したシリウスが、ハリーたちと話す場面の言葉です。
新しく来たアンブリッジ先生は死喰い人ではないかと言うハリーに、シリウスは、世の中はそう単純ではないと答えます。
原文は「the world isn't split into good people and Death Eaters」です。
嫌な相手を悪の側に分けてしまえば話は簡単ですが、悪意の形はもっと複雑だという見方として読むことができます。
映画で知られる「光と闇」の台詞は、この言葉とは別のもので、後半で紹介します。
ハーマイオニー:ティースプーンほどの感情の幅
第21章「The Eye of the Snake」で、チョウ・チャンの複雑な気持ちを説明するハーマイオニーと、ロンのやりとりの中で出てくる言葉です。
一人の人がそんなにいろいろな気持ちを一度に抱えたら破裂してしまう、と言うロンに、ハーマイオニーが言い返します。
原文は「the emotional range of a teaspoon」で、ロンの感情の幅を小さなティースプーンにたとえています。
痛烈ながらユーモアのある切り返しで、人の気持ちは一つではないと伝えているところが、この台詞の魅力です。
ダンブルドア:無関心と放置は、あからさまな嫌悪より害が大きい
第37章「The Lost Prophecy」で、シリウスを失ったあとのハリーに、校長室でダンブルドアが語る言葉です。
ダンブルドアは、シリウスはクリーチャーを憎んでいたのではなく、気にかける値打ちのない召し使いとして扱っていたのだと話します。
原文は「Indifference and neglect often do much more damage than outright dislike」です。
嫌うことよりも、相手を見ようとしないことのほうが深く傷つけることがある、という指摘で、家族や職場の人間関係にも重ねやすい言葉です。
6巻『謎のプリンス』の名言
6巻では、ハリーが魔法省と距離を取る場面と、ダンブルドアとともに分霊箱を探しに行く場面に、印象的な言葉があります。
スクリムジョールとハリー:根っからのダンブルドアの人間
第16章「A Very Frosty Christmas」で、クリスマスにウィーズリー家を訪ねた魔法大臣のスクリムジョールが、庭でハリーと二人きりで話す場面の言葉です。
魔法省の味方として人前に出てほしいと持ちかける大臣を、ハリーははっきり断ります。
怒った大臣は、ハリーを「Dumbledore's man through and through」だと責めるように言い、ハリーはそのとおりだと認めて家の中へ戻ります。
皮肉として投げられた言葉を、自分の立場を示す言葉として受け取り直すところに、ハリーの成長が表れています。
ダンブルドア:死や闇を前に恐れるのは、未知のものだけ
第26章「The Cave」で、分霊箱を探して海辺の洞窟に入ったダンブルドアが、ハリーに語る言葉です。
暗い湖の中に死体が潜んでいると知って身構えるハリーに、ダンブルドアは、死体そのものも暗闇も恐れる理由はないと話します。
原文は「It is the unknown we fear when we look upon death and darkness, nothing more.」です。
恐れているのは死や闇そのものではなく、その先が分からないことだという見方で、不安の正体を言葉にしてくれる一言です。
ダンブルドア:心配はいらない、君と一緒だから
同じ第26章で、洞窟を出る途中、凍える水の中で弱りきったダンブルドアが、ハリーにかける言葉です。
原文は「I am not worried, Harry. I am with you.」です。
1巻からずっとハリーを守る側だったダンブルドアが、ここでは守られる側として、ハリーへの信頼を口にしています。
二人の関係が入れ替わる場面として、読み返すほど重く響く言葉です。
7巻『死の秘宝』の名言
7巻では、主要な登場人物の死や、隠されていた過去が明かされるため、ここから先は物語の結末に触れます。
第36章でモリー・ウィーズリーが娘のジニーを守ろうとベラトリックスに立ち向かう場面も名場面として知られていますが、台詞に強い罵りの言葉が含まれるため、ここでは引用しません。
ドビー:ドビーは自由なしもべ妖精
第23章「Malfoy Manor」で、マルフォイの館に捕らえられたハリーたちを、ドビーが助けに現れる場面の言葉です。
原文は「Dobby is a free elf」で、かつて仕えていたマルフォイ家の人々を前に、自分はもう誰の持ち物でもないと宣言します。
公式サイトのWizarding Worldでも、ドビーの勇気が際立つ章として紹介されています(出典:Wizarding World「The chapter that made us fall in love with… Dobby」)。
ドビーはこの直後、ベラトリックスが投げた短剣に倒れ、ハリーは第24章「The Wandmaker」で、墓に「HERE LIES DOBBY, A FREE ELF」と刻みます。
2巻で自由を手にしたドビーが、最後まで自由なしもべ妖精として生きたことが、この2つの言葉から伝わります。
スネイプ:最期にハリーへ向けた「Look at me」
第32章「The Elder Wand」で、叫びの屋敷でヴォルデモートの蛇ナギニに襲われたスネイプが、自分の記憶をハリーに託し、最期に言う言葉です。
原文は「Look... at... me...」です。
ハリーの目は母リリーと同じだと物語の中で何度も語られてきたことを思い出すと、この短い言葉の重さが変わります。
その理由は、次の第33章で明かされます。
スネイプ:永遠に(Always)
第33章「The Prince's Tale」で、ハリーがペンシーブという道具で見たスネイプの記憶の中の言葉です。
これほど年月がたっても気持ちは変わらないのか、というダンブルドアの問いに、スネイプは「Always.」とだけ答えます。
スネイプがハリーの母リリーを想い続けていたことが分かる場面で、映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』にも同じやりとりがあります。
たった一語で長い年月の想いを表すことから、原作と映画の両方でよく知られた台詞になっています。
ダンブルドア:死者ではなく、愛なく生きる者を哀れめ
第35章「King's Cross」で、ヴォルデモートの死の呪いを受けたハリーが、キングズ・クロス駅に似た場所でダンブルドアと再会する場面の言葉です。
原文は「Do not pity the dead, Harry. Pity the living」で、このあと、とりわけ愛なく生きる者を哀れむようにと続きます。
死を恐れ、愛を知らないまま力を求めたヴォルデモートと、大切な人たちのために自ら森へ向かったハリーとの違いを示す言葉と受け取れます。
同じ章でダンブルドアは、若いころの自分にとって力が弱点であり誘惑だったことを打ち明けたうえで、「perhaps those who are best suited to power are those who have never sought it」とも語っています。
力にいちばんふさわしいのは、力を求めたことのない人なのかもしれない、という意味で、望まないまま先頭に立つことになったハリーを認める言葉として読むことができます。
ダンブルドア:頭の中で起きていることでも、本物でないとは限らない
同じ第35章の終わりに、これは現実なのか、自分の頭の中のことなのかと尋ねるハリーに、ダンブルドアが返す言葉です。
原文の前半は「Of course it is happening inside your head, Harry」です。
このあとダンブルドアは、だからといって本物ではないことにはならない、と続けます。
心の中で起きたことも本物だという考え方は、想像や物語の力を信じる言葉としても受け取れます。
ハリー:アルバス・セブルス、二人の校長から名前をもらった
エピローグ(19年後)で、9と3/4番線からホグワーツへ向かう次男のアルバスに、ハリーが語りかける言葉です。
原文は「Albus Severus, you were named for two headmasters of Hogwarts.」です。
スリザリンに組分けされたらどうしようと不安がる息子に、ハリーは、名前をもらった一人はスリザリン出身で、おそらく自分が知る中でいちばん勇敢な人だったと伝えます。
2巻で自分の寮について悩んだハリーが、今度は父親として、組分け帽子は本人の選択を聞いてくれると伝える側に回っています。
『死の秘宝』の19年後を描く舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、東京・TBS赤坂ACTシアターで上演されていて、東京公演は2026年12月27日に千秋楽を迎えます(出典:舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式サイト)。
映画だけの名台詞と、原作との違い
原作の名言として紹介されている言葉の中には、映画の中だけで語られる台詞もあります。
ダンブルドア:どんなに暗いときでも、明かりをつければ幸せは見つかる
映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004年)で、新学期の始まりにダンブルドアが全校生徒に語るスピーチの一節です。
学校の警備に来た吸魂鬼に近づかないよう、生徒たちに注意する話の中で語られます。
原文は「happiness can be found, even in the darkest of times」で、明かりをつけることさえ忘れなければ、と続きます。
原作の言葉として紹介されることもありますが、原作3巻では確認できず、映画の台詞として知られています。
暗い時期にも自分で明かりをつけられる、という前向きな言葉なので、映画の台詞であることを添えて引用すると安心です。
ダンブルドア:言葉は尽きることのない魔法の源
映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(2011年)で、キングズ・クロス駅に似た場所でダンブルドアがハリーに語る台詞です。
原文は「our most inexhaustible source of magic」で、言葉そのものを魔法にたとえています。
原作7巻第35章の同じ場面には、この台詞は見当たりません。
本を読む人や文章を書く人に響きやすい言葉ですが、引用するときは映画の台詞として扱うのが正確です。
ハリー:ハグリッドのいないホグワーツなんてない
映画『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002年)の終わりに、学年末の宴の大広間へ、アズカバンから戻ったハグリッドが現れる場面の台詞です。
三人に礼を言うハグリッドに、ハリーが返す言葉で、原文は「There's no Hogwarts without you, Hagrid.」です。
ハグリッドの台詞として紹介されることもありますが、言っているのはハリーです。
原作2巻では確認できない、映画で加えられた台詞です。
シリウス:誰の中にも光と闇がある
映画『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(2007年)で、怒りにのまれて自分が悪い方へ変わっていくのではと恐れるハリーに、シリウスが語る台詞です。
原文には「both light and dark inside us」という表現があり、大事なのはどちらに従って行動するかだと続きます。
原作5巻で確認できるシリウスの言葉は、前に紹介した「the world isn't split into good people and Death Eaters」のほうです。
映画は、原作にある考え方を短く分かりやすい形にまとめ直したものとして読むこともできます。
同じ映画『不死鳥の騎士団』では、ハリーがダンブルドア軍団の仲間に、「every great wizard in history has started out as nothing more than what we are now: students」と語りかける場面もあります。
歴史に残る偉大な魔法使いも、はじめは今の自分たちと同じ学生だった、という意味で、こちらも映画の台詞として記録されている言葉です。
原作と映画で言い回しが違う台詞
原作と映画の両方にあっても、言い回しが変わっている台詞は次の3つです。
- 選択の言葉:原作2巻は「It is our choices, Harry, that show…」、映画『秘密の部屋』は「It is not our abilities that show us what we truly are」から始まる
- 魔法使いだ:原作1巻は「Harry — yer a wizard」、映画は「You're a wizard, Harry」
- 頭の中:原作7巻は「it is happening」、映画『死の秘宝 PART2』は「it's happening」
映画の選択の台詞は「能力ではない」を先に言うことで、最後の「選択」がより際立つ形になっています。
語順や綴りの違いは小さく見えますが、どちらの言葉を引用しているのかを書き添えると、読む人に誤解されにくくなります。
ハリー・ポッターの名言として広まる、確かめにくい言葉
有名な言葉の中には、巻や章まで確かめにくいものもあります。
「Things we lose have a way of coming back to us in the end」は、5巻の終盤でルーナがハリーに語る言葉として広く紹介されています。
ただ、何章のどの場面かを示す資料は二次的なものが中心で、章まで確かめきれていないため、上の30には含めていません。
「Call him Voldemort, Harry.」で始まる長い形の言葉も、1巻第17章の医務室の場面として紹介されますが、確認できたのは「Fear of a name increases fear of the thing itself」の部分だけです。
名言の画像やまとめで見かけた言葉を引用するときは、原作の巻と章、または映画の作品名まで確かめておくと安心です。
ハリー・ポッターの名言に関するよくある質問
ハリー・ポッターでいちばん有名な名言は?
一つに決める基準はありませんが、スネイプの「Always.」は原作と映画の両方にあり、とくによく知られた台詞の一つです。
ダンブルドアの名言が多いのはなぜ?
多くの巻で、事件が終わったあとにダンブルドアがハリーと話し、出来事の意味を言葉にする場面があるからです。
日本語版で名言を読むにはどの本がいい?
静山社から出ている松岡佑子さん訳の日本語版で読めます。
単行本のほかに文庫版や、総ルビで子どもも読みやすい静山社ペガサス文庫版もあります。
寄せ書きやスピーチで使うときの注意は?
原作の言葉か映画の台詞かを分け、発言者と巻や作品名を添えると誤解されにくくなります。
英語の原文で読むなら、どの巻から始めるとよい?
物語の始まりで、ダンブルドアの短い言葉も多い1巻から、日本語版と見比べながら読むと入りやすいです。
ハリー・ポッターの名言のまとめ
『ハリー・ポッター』の名言は、誰が誰に言ったのか、何巻の何章のどんな場面かまで知ると、言葉に込められた信念が見えてきます。
原作の言葉と映画だけの台詞を分けておくと、引用するときに取り違えずにすみます。
持ち帰る一言を選ぶなら、2巻のダンブルドアの「It is our choices, Harry, that show what we truly are」です。
生まれや能力ではなく、自分の選択が自分をつくるという考え方は、最後に父親になったハリーの言葉にもつながっています。
気になった言葉は、本の該当する章を開いて、前後の場面ごと読んでみてください。