「そうだ 京都、行こう。」や「おしりだって、洗ってほしい。」のように、何年たっても忘れられないキャッチコピーがあります。
ただ、「やめられない、とまらない」のように、誰が考えたかがはっきりしていない名作コピーもあります。
心に残るキャッチコピーは、言葉の響きだけでなく、どの企業がどんな時代にどんな思いで世に出したかを知ると、言葉が人の心を動かす仕組みまで理解できます。
この記事では、名作と呼ばれるキャッチコピーを企業・時代・コピーライターつきで紹介し、心に刺さるコピーに共通する特徴や、誕生の裏話まで解説します。
この記事のポイント
- 「そうだ 京都、行こう。」はJR東海が1993年に始めたキャンペーンのコピー
- 「まずい!もう一杯!」は俳優の本音から生まれたといわれる
- 「やめられない、とまらない」は、誰が考えたかがはっきりしていない
- 心に刺さるコピーには、リズム・対比・正直さなどの共通点がある
名作キャッチコピー一覧
この記事で紹介する主なキャッチコピーを、企業・商品とコピーライターつきで一覧にします。
| コピー | 企業・商品 | コピーライター |
|---|---|---|
| そうだ 京都、行こう。 | JR東海 | 太田恵美 |
| おしりだって、洗ってほしい。 | TOTO ウォシュレット | 仲畑貴志 |
| おいしい生活。 | 西武百貨店 | 糸井重里 |
| 21世紀に間にあいました。 | トヨタ プリウス | 岩崎俊一 |
| 生きろ。 | 映画『もののけ姫』 | 糸井重里 |
| 迷子になろうよ、いっしょに。 | 三鷹の森ジブリ美術館 | 糸井重里 |
| #この髪どうしてダメですか | P&G パンテーン | 細川美和子 |
昭和の名作キャッチコピー
昭和のキャッチコピーには、豊かになっていく暮らしの中で、新しい価値観を提案する言葉が多く生まれました。
おしりだって、洗ってほしい。(TOTO)
1982年、TOTOの温水洗浄便座「ウォシュレット」の広告で、コピーライターの仲畑貴志さんが書いたコピーです。
「おしりは紙でふくもの」という常識に、「洗う」という新しい考え方をやわらかく投げかけ、トイレの文化そのものを変えるきっかけになりました。
ウォシュレットは1980年に発売された商品で、このコピーとともに家庭に広く知られるようになりました。
おいしい生活。(西武百貨店)
1980年代に、糸井重里さんが西武百貨店の広告で書いたコピーです。
物をたくさん持つことより、暮らしそのものを楽しむことに価値がある、という時代の気分を短い言葉で表し、広告の枠をこえて話題になりました。
100人乗っても大丈夫。(稲葉製作所 イナバ物置)
稲葉製作所の「イナバ物置」のCMで知られる「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫。」というコピーです。
物置の屋根に大勢の人が乗る映像と組み合わせ、「丈夫さ」という目に見えにくい性能を、100人という数字で誰にでも想像できる形にしました。
名作コピーが生まれる考え方は、コピーライター本人の本で学ぶことができます。
\ コピーライターの考え方を本で読む /
平成の名作キャッチコピー
平成に入ると、旅や環境、生き方など、一人ひとりの暮らしに寄りそうコピーが名作として残っています。
そうだ 京都、行こう。(JR東海)
1993年に始まったJR東海の京都観光キャンペーンのコピーで、コピーライターは太田恵美さんです。
キャンペーンでは、季節ごとの京都の風景と「そうだ 京都、行こう。」の一言を組み合わせたポスターやCMが作られてきました。
ふと思い立って旅に出る気持ちを、「そうだ」の一言で表したコピーは、30年以上続く長寿キャンペーンになりました。
21世紀に間にあいました。(トヨタ プリウス)
1997年、世界初の量産ハイブリッドカー、トヨタ「プリウス」の広告で、岩崎俊一さんが書いたコピーです。
環境への関心が高まる中、新しい技術が未来に間に合ったという喜びを、一言で印象的に伝えています。
生きろ。(映画『もののけ姫』)
1997年に公開されたスタジオジブリの映画『もののけ姫』のコピーで、糸井重里さんが手がけました。
プロデューサーや監督とのやりとりを重ねる中で、たった3文字にまで削ぎ落とされたコピーとして知られています。
迷子になろうよ、いっしょに。(三鷹の森ジブリ美術館)
2001年に開館した「三鷹の森ジブリ美術館」のコピーで、糸井重里さんが手がけました。
決められた順路をたどるのではなく、館内で自由に迷いながら楽しんでほしいという美術館の考え方を、やさしい誘いの言葉で伝えています。
お、ねだん以上。(ニトリ)
家具・インテリアのニトリの企業メッセージとして知られるコピーです。
「お値段以上」という品質の約束と、「おっ、値段以上だ」という買った人の驚きの声を、句読点ひとつで重ね合わせた言葉として親しまれています。
令和の名作キャッチコピー
令和のコピーには、社会に問いかけ、見る人と一緒に考えようとする言葉が増えています。
#この髪どうしてダメですか(P&G パンテーン)
2019年、P&Gのヘアケアブランド「パンテーン」が、髪の色や髪型を決める学校の校則に疑問を投げかけたキャンペーンのコピーです。
商品のよさを語るのではなく、社会の中の「当たり前」に問いを立てることで、多くの共感と議論を呼びました。
誕生の経緯がよく語られるキャッチコピー
名作コピーの中には、生まれた経緯そのものが話題になっているものもあります。
まずい!もう一杯!(キューサイ 青汁)
キューサイの青汁のテレビCMで、悪役俳優として知られる八名信夫さんが語った言葉です。
撮影で青汁を飲んだ八名さんが思わず口にした本音がもとになったといわれ、「まずい」という食品広告ではありえない言葉が、かえって商品への信頼を生みました。
やめられない、とまらない(カルビー かっぱえびせん)
カルビーの「かっぱえびせん」のCMでおなじみのコピーです。
広告会社の担当者が考えたという話がある一方で、カルビー側の説明も時期によって違い、誰が考えたかははっきりしていません。
心に刺さるキャッチコピーに共通する特徴
名作と呼ばれるキャッチコピーには、心に残るための工夫が共通して見られます。
- リズムがよく、声に出して覚えやすい(やめられない、とまらない)
- 意外な言葉で常識をくつがえす(まずい!もう一杯!)
- 数字で具体的に想像させる(100人乗っても大丈夫)
- 見る人に問いかけて考えさせる(#この髪どうしてダメですか)
- 短い言葉に思いを凝縮する(生きろ。)
コピーライターの岩崎俊一さんは、コピーの仕事では「何を言うか」だけでなく「どう言うか」が大切だと語っていたことで知られています。
同じ内容でも、言い方ひとつで心に届くかどうかが変わるという考え方は、スピーチや文章を書くときにも役立ちます。
言葉で人の心を動かすコツをもっと知りたい方は、スピーチに使える名言を解説した記事も読んでみてください。
名作コピーを生んだコピーライター
名作キャッチコピーの多くは、第一線のコピーライターたちによって生み出されてきました。
糸井重里さん・仲畑貴志さん・岩崎俊一さん
糸井重里さんは「おいしい生活。」や「生きろ。」、仲畑貴志さんは「おしりだって、洗ってほしい。」、岩崎俊一さんは「21世紀に間にあいました。」などで知られています。
こうしたコピーは、日本のコピーライターの団体である東京コピーライターズクラブ(TCC)の賞や年鑑でも記録されています(出典:東京コピーライターズクラブ)。
キャッチコピーの名作に関するよくある質問
「そうだ 京都、行こう。」はいつからですか?
JR東海の京都観光キャンペーンとして、1993年に始まりました。
「まずい!もう一杯!」は誰の言葉ですか?
キューサイの青汁のCMで、俳優の八名信夫さんが語った言葉です。
撮影中の本音がもとになったといわれています。
心に刺さるキャッチコピーの特徴は?
リズムのよさ、意外性、具体的な数字、問いかけ、短さなどが共通しています。
「生きろ。」は何のキャッチコピーですか?
1997年公開のスタジオジブリの映画『もののけ姫』のコピーで、糸井重里さんが手がけました。
キャッチコピーの名作まとめ
心に残るキャッチコピーは、言葉の響きだけでなく、どの企業がどんな時代にどんな思いで世に出したかを知ると、言葉が人の心を動かす仕組みまで理解できます。
昭和から令和まで、名作コピーはその時代の空気や、人々が求めていたものを映しています。
「やめられない、とまらない」のように、作者がはっきりしないまま愛され続けているコピーもあります。
持ち帰りたい一言を選ぶなら、「そうだ 京都、行こう。」です。
気になったコピーは、生まれた時代や背景ごと味わってみてください。