オバQの名言といえば、『劇画・オバQ』のラストでQ太郎がつぶやく「正ちゃんはもう子供じゃないってことだな」や、O次郎の「バケラッタ」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
ただ、オバQの名言として広まっている言葉には、言った人物が取り違えられているものや、どの話の言葉か確かめられないもの、作品の外から広まった言葉も混ざっています。
オバQの名言は、セリフだけでなく、『オバケのQ太郎』『新オバケのQ太郎』『劇画・オバQ』のどの作品の、どんな場面の言葉かまで確かめると、笑いの中にある子ども時代のきらめきと、大人になることの切なさがよく伝わります。
この記事では、藤子不二雄の『オバケのQ太郎』シリーズの名セリフと口癖を、作品別に収録巻と場面つきで紹介し、名作として語り継がれる『劇画・オバQ』の名場面や、オバQにまつわる豆知識まで解説します。
この記事のポイント
- 「正ちゃんはもう子供じゃないってことだな」は『劇画・オバQ』のラストのQ太郎の独白
- 「なぜ消さなきゃいけないんだよ!」は正ちゃんではなくハカセの言葉
- O次郎の「バケラッタ」は、O次郎の登場より前に『オバQ音頭』の歌詞で使われていた
- オバQのアニメは、今は主な動画配信サービスで配信されていない
オバQの名言一覧
この記事で紹介する主なセリフを、発言者と作品つきで一覧にします。
| セリフ | 発言者 | 作品 |
|---|---|---|
| ぼくはオバケのQ太郎さ | Q太郎 | 『オバケのQ太郎』 |
| バケラッタ | O次郎 | 『新オバケのQ太郎』 |
| イエス/ノー/ホワット? | ドロンパ | 『オバケのQ太郎』 |
| 色んな夢をもっていたっけな… | 正太 | 『劇画・オバQ』 |
| なぜ消さなきゃいけないんだよ!大人になったからって…。僕は嫌だ!! | ハカセ | 『劇画・オバQ』 |
| 俺たちゃ永遠の子供だ! | ハカセ | 『劇画・オバQ』 |
| 正ちゃんはもう子供じゃないってことだな… | Q太郎 | 『劇画・オバQ』 |
オバケのQ太郎とは
『オバケのQ太郎』は、藤子不二雄(藤子・F・不二雄と藤子不二雄Ⓐの合作)が、1964年に小学館の『週刊少年サンデー』で連載を始めたギャグ漫画で、大ブームを巻き起こしました。
竹やぶで見つかった卵から生まれたオバケのQ太郎が、大原家の正太(正ちゃん)の家に住みつき、騒動を起こしながら仲良く暮らす物語です。
1971年からは、弟のO次郎が登場する『新オバケのQ太郎』が学年誌で連載され、1973年には大人向けの雑誌『ビッグコミック』に、藤子・F・不二雄の読み切り『劇画・オバQ』が発表されました。
長く単行本が手に入りにくい時期が続きましたが、2009年に始まった小学館の「藤子・F・不二雄大全集」で、シリーズがまとめて読めるようになりました(参考:小学館 藤子・F・不二雄大全集『オバケのQ太郎』)。
『劇画・オバQ』の名言
オバQの名言として最もよく知られているのは、1973年に『ビッグコミック』2月25日号に掲載された読み切り『劇画・オバQ』のセリフです。
色んな夢をもっていたっけな…
大人になった正太が、久しぶりに帰ってきたQ太郎と、昔の仲間たちとの飲み会で、子どものころの夢が大人になるにつれて一つまた一つと消えていった、と遠い目で語る言葉です。
25歳のサラリーマンになり、会社と家の往復をくり返す正太の姿に、多くの大人の読者が自分を重ねました。
なぜ消さなきゃいけないんだよ!大人になったからって…。僕は嫌だ!!
同じ飲み会で、夢が消えていくと語る正太に、仲間のハカセが机をたたいて反論する言葉です。
ハカセは、自分の可能性を限界まで試してみたい、と起業の夢を語り、子どものころに作った「オバQ王国」の旗を取り出して、「俺たちゃ永遠の子供だ!」と仲間に呼びかけます。
ネットでは正太の言葉として紹介されることもありますが、作品の中でこの言葉を言うのはハカセです。
正ちゃんはもう子供じゃないってことだな…
物語の最後、翌朝に妻の妊娠を知った正太が、張り切って会社へ出かけていくのを見送ったQ太郎が、ひとりつぶやく言葉です。
父親になる正太は、もう自分と遊んでくれる子どもではないと悟ったQ太郎は、だれにも別れを告げずに、ひとり空へ飛んでいきます。
『劇画・オバQ』が名作と語り継がれる理由
この作品では、大人になった正太たちがリアルな劇画の絵で描かれ、子どものころを思い出して盛り上がる場面だけ、昔の可愛らしい絵に戻るという演出が使われています。
正太が夢ではなく家族との生活を選ぶ結末は、夢を手放す悲しさと、家族を守る大人の強さの両方を描いていて、読んだ人の心に長く残る名作として語り継がれています。
『劇画・オバQ』とほぼ同じころ、学年誌では『新オバケのQ太郎』の最終回が描かれていて、子どもの読者には笑顔の別れを、大人の読者には子ども時代の終わりを描き分けたことも、藤子・F・不二雄の作家としての深さを感じさせます。
オバQのキャラクターの名言と口癖
『オバケのQ太郎』シリーズには、キャラクターの性格がよく伝わる口癖や、おなじみのセリフがたくさんあります。
ぼくはオバケのQ太郎さ(Q太郎)
てんとう虫コミックス新装版の1巻に収められた「タマゴから生まれたQちゃん」で、竹やぶの卵から生まれたQ太郎が、正太に向かって言う最初の言葉です。
犬が大の苦手で、少しお金を手にしただけで大金持ちになった気になるなど、オバケなのに人間くさいところが、Q太郎の大きな魅力です。
バケラッタ(O次郎)
『新オバケのQ太郎』から登場する、Q太郎の弟で赤ちゃんオバケのO次郎の口癖です。
「ナニラッタ?」「ダメラッタ」など、「〜ラッタ」の形で気持ちを表し、お兄ちゃんのQ太郎が通訳をする兄弟のやり取りも、作品の楽しさのひとつです。
イエス/ノー/ホワット?(ドロンパ)
アメリカから来たオバケのドロンパは、会話の中に片言の英語をまぜて話すのが口癖です。
日本の緑茶を飲んで「しぶい」と吹き出す場面などもあり、Q太郎のライバルとして、ちょっと気取った性格が描かれています。
おい、素直に返した方がいいぜ(ゴジラ)
てんとう虫コミックス新装版の12巻「さようならQちゃん」で、オバケの国へ帰ることを決めたQ太郎が、真剣に貸したものを取り立てる姿を見て、ゴジラ(剛田)が友だちに忠告する言葉です。
いつもはいばっているゴジラが、Q太郎の本気を感じとる場面で、別れの近さを感じさせる名場面になっています。
藤子・F・不二雄のほかの作品の名言は、ドラえもんの名言を解説した記事で紹介しています。
オバQの名言・豆知識の本当のところ
オバQにまつわる言葉や豆知識の中には、意外な由来があるものや、出典が確かめられないものもあります。
「バケラッタ」はO次郎より先にあった
今では「バケラッタ」はO次郎の口癖として知られていますが、O次郎が登場するより前の1960年代に、大ヒットした歌『オバQ音頭』の歌詞で、すでに使われていました。
そのため、もとはQ太郎の言葉だったと思われることもありますが、漫画の中で口癖として使うようになったのは、O次郎が登場してからです。
小池さんのモデルは鈴木伸一さん
いつもラーメンを食べている小池さんには、トキワ荘に住んでいたアニメーション作家の鈴木伸一さんという実在のモデルがいます。
鈴木さんが「小池」という表札の家に下宿していて、その表札と一緒に漫画に描かれたことから、「小池さん」と呼ばれるようになったと本人が語っています。
出典が確かめられないドロンパの言葉
「みんなが分かりきった事が分からなくてウロウロしていると」で始まる言葉は、ドロンパのセリフとして紹介されることがありますが、何巻のどの話の言葉かは確かめられていません。
ドロンパの口癖として検索される特別な語尾についても、原作ではっきり確かめられるものは見つかっていません。
オバQの名言を本で読む
『劇画・オバQ』は、『藤子・F・不二雄SF短編集 PERFECT版』1巻や、『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス』などに収められていて、今も読むことができます。
\ 大人になって読みたい名作短編 /
なお、オバQのテレビアニメ(1965年版、1971年版、1985年版)は、今は主な動画配信サービスでは配信されていません。
オバQの名言に関するよくある質問
「正ちゃんはもう子供じゃないってことだな」は何の作品のセリフですか?
1973年に『ビッグコミック』に掲載された『劇画・オバQ』のラストで、Q太郎がつぶやく言葉です。
『劇画・オバQ』はどこで読めますか?
『藤子・F・不二雄SF短編集 PERFECT版』1巻などに収められています。
O次郎の口癖は?
「バケラッタ」で、「ナニラッタ?」「ダメラッタ」などの形でも使われます。
ドロンパの口癖は?
「イエス」「ノー」「ホワット?」など、片言の英語をまぜて話すのが口癖です。
オバQの名言まとめ
オバQの名言は、セリフだけでなく、『オバケのQ太郎』『新オバケのQ太郎』『劇画・オバQ』のどの作品の、どんな場面の言葉かまで確かめると、笑いの中にある子ども時代のきらめきと、大人になることの切なさがよく伝わります。
Q太郎やO次郎の口癖には、ギャグ漫画らしい楽しさがあり、『劇画・オバQ』の最後の言葉には、だれもがいつか迎える子ども時代の終わりが描かれています。
一方で、ハカセの言葉が正太の言葉として紹介されたり、出典が確かめられない言葉が広まったりしている例もあります。
持ち帰りたい一言を選ぶなら、「正ちゃんはもう子供じゃないってことだな」です。
気になったセリフは、大全集や短編集で、前後の物語ごと味わってみてください。
